Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

シネマしりとり「薀蓄篇」(165)

2016-05-11 00:10:00 | コラム
てぃーんえい「じゃー」→「じゃー」なりすと(ジャーナリスト)

黄金週間中に、ひとにいちばん薦めていた映画は『スポットライト 世紀のスクープ』。

社会性と娯楽性を兼ね備えており、どちらを重んじる映画好きからも「ある一定の評価」を得られるだろうと思ったから。

オスカー受賞は伊達じゃないが、きのうのニュースで、この映画が予告編のナンバーワンにも選出されたと報じられていた。

※こちらは、日本版の予告編





ある意味で国家よりも手強そうなカトリック教会の闇を暴く、新聞記者たちの物語。

ネット社会に移行した21世紀でさえも、(アンケートによると)ネットよりも新聞を信用するひとが多いという。

18~20歳のころに新聞配達で、30歳のころに毎日新聞のデータベース作成で喰っていた自分は、ただただうれしい。

速報性ではネットに勝てっこないのに、いざというときの資料は新聞とする-その理由は様々だろうけれど、いちばん大きいのは「有料である」ということだろう。

嘘なんか、載せられない。
(東スポは、別よ笑)


自分は主に雑誌の原稿料で喰っているが、新聞記者と知り合う機会は多い。

彼ら彼女らが「なんとなく」エリート意識を持っているのは、しょうがないことだと思う。

そんなひとばかりではない、、、と断ったうえで書くが、「ふん! 三流雑誌のライターごときが」みたいな態度を取られることも「しばしば」だもの。

実際、モノカキはモノカキでも、新聞と雑誌では大きく印象が異なる。

新聞は、専門のこと以外は書かない。
雑誌は、なんでもかんでも書く。

そんなこともないのだけれど、そういう風に思われているところがあるし。
(前田あっちゃんが熱演している『毒島ゆり子のせきらら日記』。面白いが、番記者という設定だけは、??? と思っちゃうな)


映画におけるジャーナリストで最も有名なのは、おそらく『大統領の陰謀』(76)のボブ・ウッドワード(ロバート・レッドフォード)と、カール・バーンスタイン(ダスティン・ホフマン)だろう。



ニクソンを辞任に追い込んだ、スーパーヒーローである。

この精神を受け継いだのが『スポットライト』のチームだと思うが、こういう「大きなうねり」が起こるのは稀で、基本的には小さな事実を積み上げていく、ひじょうに地味な作業が毎日つづく仕事なんだ。

だから彼ら彼女らは格好いいけれど、親近感は抱けない。

そこで、『天国と地獄』(63)の記者たちを挙げておきたい。

警察発表を記事にする、主役になることはない「冴えない」記者の面々。



だが観たものはきっと、彼らの「人情」に打たれ、世の中ってこうあるべきだ! と強く思うことでしょう。

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戸倉警部「権藤さんはその後、常務の地位を解任され、工場担当の仕事からも外されたことをご存知ですか」

記者1「へー、ひどいもんだねぇ。世論なんか、なんとも思ってないんだな」

記者2「でもうまいなぁ、まったく。抑えた記事の穴埋めに、ナショナルシューズを叩こうっていうんでしょ」

戸倉警部「いや(苦笑)」

記者1「しょうがねぇ、盛大に叩くか!」

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・・・・・いやぁ、熱くなりますなぁ!!


あすのしりとりは・・・
じゃーなりす「と」→「と」きをかけるしょうじょ。

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『シネマしりとり「薀蓄篇」(166)』
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みっともないオバケ

2016-05-10 00:13:40 | コラム
すごいドラマーと知り合いなんだ。

といっても、シシドカフカちゃん(トップ画像)ではない。

もっといえば、楽器使いですらない。

ものすごい貧乏ゆすりをするひと。

このひとはその癖を自覚している。
しているが、やめない・・・というか、たぶんやめられないのだろう。

それが、癖というものだから。

このひとがすごいのは、どんな状況でもドラマーになってしまうところ。

片足だったらドラマーなんて呼ばないよ。
そう、両足ガタガタやっているんだ。

そこそこ長い付き合いなのだが、先輩後輩の関係なので、はっきり注意したことはない。

「やんわり」であれば、いったことがある。
行為そのものではなく、その恥ずかしいネーミングについて。

「貧乏ゆすりって、ねぇ・・・」と。

そのことについては返さず、彼は澄ました顔で「じつは身体にいいらしい」と答えた。

それが本当だとしても、だ。
貧乏ゆすりを見てイライラしてくるひとも居るわけでね、あんまり上等な? 癖とはいえない。

自分はイライラしないが、先日、このひとが「地に足がついていない状態」で貧乏ゆすりをやってのけたので、さすがに驚いた。

背が高めのテーブルに飛び乗って腰掛け、足がぶらんとなっている状態。

女子が前後にぶらんぶらんやっているのであれば可愛いが、いつもの調子でガタガタし始めたときは、思わず引っ叩きそうになったよ笑


一昨日は、「舌打ち」じいさんに会った。

これまた、度を越した癖の持ち主である。

たいしたことではないのに、すぐに「ちっ!!」とやる。

冗談ではなく、60分のあいだに20回くらいやっていた。

癖だから、たぶん本人にとっても「たいしたことではない」のだと思う。

だとすれば、「たいしたこと」であったときは、どんな感じになるのか。


連続舌打ち?

音のでかい舌打ち?

あるいは、舌打ちではない「なにか」?


家庭持ち。
家ではどうなのか知らないが、この調子だと同じだと思う。

聞いているほうがストレスを抱え込みそうなので、奥さんや子どもを気の毒に思った。


自分だって、他者をイライラさせるであろう癖や習性があると思う。

そもそもが喫煙者だから嫌われるご時世だし、
どんな会話をしてたとしても、最終的にはエロで落とすから嫌いなひとは大嫌いだろうし。

まぁ癖というよりは、人間性かな。

一般的に嫌がられる傾向にある、「くちゃくちゃ音を立てながら食べる」とかいうのも、ない。

貧乏ゆすりも「くちゃくちゃ」も、ガキのころ、父親や母親から「みっともないことだから、そういうことはしないように」と注意を受けていた。

受けていた―ということは、「くちゃくちゃ」やっていたりしたのだろうか?

・・・・・。

そんな記憶は、ないなぁ。

まぁでも、そうやって注意されることによって「みっともないこと」と認識するようになったんだ、ありがたいことである。


※映画『恋しくて』のオープニング。
メアリー・スチュアート・マスターソンのドラムテクニック、なかなかだと思う。




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俳優別10傑 海外「さ行」篇(2)

2016-05-09 00:10:00 | コラム
~シルベスター・スタローンのキャリア10傑~

今年中に古希を迎えるスライこと、スタローン。

もうひとついえば、ほとんどの映画ファン・映画関係者が、今年中にオスカー俳優になると思っていた。

かなり残念だが、映画賞とは無縁に生きる肉体派俳優、、、という肩書きも悪くない―と書けば、意地悪なひとは「最低演技賞は取っているじゃないか」と突っ込むことだろう。

たしかにそうだが、そうしたキャリアを含めて、格好いいひとである。

女子より男子の支持を集めがちなのは、シュワ氏と比べると不器用であり、他ジャンルへの挑戦で躓いたキャリアゆえだろう。

そう、そんな不器用さがいいんだ。
いくつになっても、結局は自分の身体が武器となる。

それしかない。

『ロッキー』(76)には、こんな台詞がある。

「親父にいわれたんだ。お前は頭が悪いから、身体を使う仕事に就けって」

実際に、そういわれたのではないだろうか―と思うほどに、リアルに響いたんだよな。

少なくともこの台詞は、同じようなキャリアを築いてきた「かに見える」シュワ氏には書けない、スライだからこそ書けたのではないか・・・そんな風に解釈する、映画小僧なのであった。


(1)『ロッキー2』(79)

シリーズのなかで、いちばん好き。

ロッキーが勝つからではなく、ニワトリを駆使したトレーニングがあるから、そして、エイドリアンが難産で苦しむから。である。

(2)『コップランド』(97)



デ・ニーロ、カイテル、リオッタ。

いわゆる演技派に囲まれて孤軍奮闘、地味なキャラクターを懸命に演じていて素晴らしい。

(3)『オーバー・ザ・トップ』(87)

腕相撲を主題として、こんなに熱い映画が出来るとは。

主題歌も名曲、
このPVではラストに、サミー・ヘイガーVSスライの腕相撲対決が用意されている。




(4)『ロック・アップ』(89)

刑務所モノのなかで、特別優れているとも思わないが、それぞれの役者が、それぞれの持ち味を存分に発揮していて見応え充分。

サザーランド、サイズモア、そしてもちろんスライ。

みんな、いい。

(5)『ランボー』(82)

ロッキーの数十倍、可哀相なキャラクターだなぁ。

シリーズ2作目、3作目あたりは、トラウトマン大佐こそ戦犯だと思ったが笑

(6)『ロッキー』(76)

試合そのものよりも、エイドリアンとの「小さな恋のゆくえ」が気になってしまうんだ。

(7)『クリフハンガー』(93)

レニー・ハーリン監督は、どこに行ったのだろう。

ハリウッド!! 的な「こけおどし」演出、嫌いじゃなかったのだが。



(8)『クリード チャンプを継ぐ男』(2015)

まさかこのひとのことを、いぶし銀と評することになるとは思っていなかった。



(9)『デス・レース2000年』(75)

じつはスライもまた、ロジャー・コーマン門下生だった。

そういう意味では、出発点はデ・ニーロと一緒。



(10)『勝利への脱出』(81)

ペレも居るし、マイケル・ケインも居る。
しかも、監督はジョン・ヒューストン。

けれどもいちばん目立つのは、スライなんだ。

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『みっともないオバケ』
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黄金週間10傑シリーズ:(10)映画の耳

2016-05-08 00:10:00 | コラム
マイク・タイソンは、ホリーフィールドの耳を噛んだ。
桜庭和志は、試合中に耳が千切れ(!)た。

そして唐突だが、エッチにおける「耳の愛撫」って意外と効力を発揮する。

・・・そんな、耳という部位は奇妙である。

まず、そのフォルムが面白いし。

うんちのことを「クソ」という若い女子は「ほとんど居ない」のに、耳クソは「耳クソ」っていってしまうところも面白いし。


自分は柔道ベースの似非格闘家を自称しているが、いわゆる柔道耳(カリフラワー状態)ではない。

寝技が得意なのにね。

あれの原因としては、「畳やマットに擦れる→傷が出来て雑菌にやられる」ため―という説が有力らしいが、ほんとうのところは分からない。

福耳と評されることが多いのだけれど、そんなことよりも、異様なほどの柔道耳を作って「すごいね!」といわれたかった。
しかし、いわれたいからってイマサラ「耳を畳に擦りつけてみる」のも違うなぁ、、、と思って。


そんなわけで黄金週間の特別企画、最終回は「映画における、印象的な耳」の10傑でいってみたい。

このテーマはじつは、過去にも取り上げたことがあった。

首位だけは不動、あとはけっこう変動している・・・ということは、1位の映画は「そーとー」なインパクトがあったんだと思う。


(1)『レザボア・ドッグス』(92)

ミスター・ブラウンによる、耳切りダンス。



(2)『ガンモ』(97…トップ画像)

ハーモニー・コリンを有名にした前衛映画だが、一部では「壊せば新しいってものではない」という批判も聞かれた。

自分は、好きだったけど。

(3)『ブルーベルベッド』(86)

草むらに落ちていた耳は、向こう側の世界への入り口だった。

(4)『ツイン・ピークス:ローラ・パーマー最期の7日間』(92)

リンチの映画を連続で。



こちらはリンチ自身が演じた、耳の遠いFBI上司。

(5)『フィールド・オブ・ドリームス』(89)

天からの? 声なのに、耳をすまさなければ聞こえないくらいのボリュームだった。

(6)『善き人のためのソナタ』(2006)

監視・盗聴の任務に就く国家保安省の主人公。



盗聴を扱った映画には傑作が多いが、その代表として本作を選出。

(7)『フェイス/オフ』(97)

激しい銃撃戦。

その銃声を聞かせないため、子どもに音楽を聞かせる。

流れている曲は・・・




(8)『インファナル・アフェア』(2002)

モールス信号を解読し、犯人を追い詰めようとする刑事。

このシーンこそ、本作のハイライトだろう。

(9)『バートン・フィンク』(91)

隣人の笑い声? が気になって、原稿が書けない劇作家。

しまいには、壁を耳につけ・・・。

(10)『ザ・トライブ』(2014)

出演者全員が聴覚障害者という、かなり攻めているウクライナ産の傑作映画。



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『俳優別10傑 海外「さ行」篇(2)』
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黄金週間10傑シリーズ:(9)映画の陰部

2016-05-07 01:21:28 | コラム
特別企画も佳境なので、自分色全開で・・・ということは、「映画における印象的な陰部」を取り上げないわけにはいかないだろう。

反応が少なくともやりますよ、だって自分のブログなんだもの。


映画で陰部・性器を表現することは、とくに日本では「ひじょうに」難儀である。

昔よりはソフトになったとはいえ、どうしたってボカシがついてしまうので。

「そんなことされるんだったら、俺自身がボカシをつけてやる」と、陰部の映った映像に、アニメーションでニワトリをかぶせた「怒れる」外国の監督さんが居たと記憶する。

そんな日本文化によって育まれた? 習性だろうか、自分のだけは見慣れているはずの日本人は、映画のなかで露骨に陰部が映し出されると「ぎょっ!!」としてしまう。

繰り返す、自分のだけは見慣れているはずなのに。
そこまで、自分のものと変わらないはずなのに。

当然といえば当然、不思議といえば不思議なリアクションだなぁと思う。


(1)『鉄男』(89)

身も蓋もないが、いわゆるチンコドリル。



全編をとおして、いちばんのインパクトだった。

(2)『愛のコリーダ』(76…トップ画像)

吉蔵と定のスキャンダラスな事件を、神話にまで高めている。

映画って、こういうことが出来るのか!! と驚いた少年時代だった。

(3)『バベル』(2006)

見せたがり症候群を患う、菊地凛子。

シャロン・ストーンのそれも印象的だが、凛子ちゃんも頑張った。

(4)『愛の嵐』(73)

これは日本のボカシによって、かえって印象的になってしまったケース。

全裸のキャラクターがワンサカ出てくるので、ぼかしも沢山!!

(5)『ブギーナイツ』(97)

誰にだって、ひとつくらいの「取り柄」があるっていうこと。

梅宮辰夫の兄貴も、歌っていたしね。




(6)『オルランド』(92)

簡単にいえば、両性具有の物語なのだった。



主演のティルダ・スウィントンは、中性的な雰囲気が抜群。

(7)『時計じかけのオレンジ』(71)

そういえば堀江くんは、自分のちんちんを象ったオブジェを創ったそうだ。

金持ちはなにをやってもいいのだろうが、センスはないと思う。

(8)『ブリキの太鼓』(79)

ガキのころにグロテスクなもの・行為を見過ぎてしまったために、オスカル少年は成長することを拒否したのだ。

(9)『ミッドナイト・エクスプレス』(78)

投獄された主人公は、面会に来た恋人の前で、自慰を始める。

(10)『シリアル・ママ』(94)

凛子ちゃんと好対照だが、これはこれで、やっぱり「見せたがり症候群」なのだ。



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