NEST OF BLUESMANIA

ミュージシャンMACが書く音楽ブログ「NEST OF BLUESMANIA」です。

音盤日誌「一日一枚」#54 VA「シークレット・ポリスマンズ・コンサート」(ポリスター)

2022-01-07 05:48:00 | Weblog

2001年7月14日(土)



VA「シークレット・ポリスマンズ・コンサート」(ポリスター)

今日の一枚は1981年の録音だから、20年前の音盤。皆さん、覚えておいでだろうか。

国際人権擁護団体「アムネスティ・インターナショナル」を支援するため、79年より始まったコンサートが、この「シークレット・ポリスマンズ・コンサート」。

なかでもこの81年のは、出演者の顔ぶれが素晴らしい。

曲順どおりに紹介していくと、まずはスティングがアコギを抱えて登場。

ポリスのヒットでおなじみの「ロクサーヌ」、そして「孤独のメッセージ」を弾き語りで披露してくれる。

シンプルなサウンドに乗った、哀愁に満ちた歌声がなんとも言えずよろしい。

続いて、エリック・クラプトン、ジェフ・ベックの旧友コンビが登場。

スティーヴィ・ワンダー作の「哀しみの恋人たち」、クラプトンの十八番「ファーザー・アップ・ザ・ロード」、そして極めつけは、「クロスロード」。

いずれも、ガッツあふれる好演。それも、ふたりのギター・スタイルの違いがはっきり出ていて、興味深い。

彼らのファンなら、この3曲を聴くだけのためにこの一枚を買っても損はないだろう。

さらには、ボブ・ゲルドフが、彼率いるブームタウン・ラッツの大ヒット「哀愁のマンデイ」を、ジョニー・フィンガーズのピアノをバックに熱唱。これもまた、シンプルなのに力強い音だ。

ジェネシスのドラマーにしてソロ・シンガー、フィル・コリンズも登場。

ソロ・アルバムから「夜の囁き」「天を仰いで」を、自らのピアノ、そしてアコギやバンジョーのアンプラグド・サウンドをバックに歌ってくれる。

英国のベテラン・フォークシンガー、ドノバンも2曲、バフィ・セント・メリーの「ユニバーサル・ソルジャー」、オリジナルの「キャッチ・ザ・ウィンド」を歌う。

もちろん、彼自身のアコギとハープによる弾き語りだ。

ステージの最後は、シークレット・ポリスマン、つまりオール・キャストによる合同演奏。

ボブ・ディランの名曲「アイ・シャル・ビー・リリースト」を9分近くに及ぶ熱演。

とまあ、盛りだくさんの内容で、聴きどころも多いのだが、ここでふと思うのは、これらトップ・アーティストのその後、そして現在。

いまだに現役でがんばっている人もいれば、いつの間にやら一線を退いた人もいる。

でも、いずれにせよ、ポップ・ミュージック・シーンの表舞台には、ほとんど登場しなくなってしまった。

クラプトンのように、たまにヒットが出たり、アルバムがよく売れるという例外もあるが、彼の昔を良く知る年齢層のひとびとがいまだに支持し続けることで成り立っている「人気」ともいえる。

いわば、みんな「過去の人」になってしまったのである。

これは、ロック&ポップ・ミュージックが「若気の産物」であることから来る「宿命」なのだろうが、でも少し残念ではある。

そこで、われわれにせめて出来ることと言えば、今の彼らのどこか気の抜けたようなプレイを聴くよりは、彼らの「旬」の時期のプレイを聴き続けて、全盛期のプレイの素晴らしさを後のちまでも語り継いでいくこと、これしかないように思う。

そういう意味で、レコード・CDはいつでも「あの頃」をわれわれに甦らせてくれる。素晴らしいことだ。

今日の一枚、音もいかしているが、そのヴィジュアルも、もちろんいい。

やはりいずれもトップ・スター。ステージの立ち姿はほれぼれするくらい、カッコよい。

とくにベック、クラプトンは、最高にステージ映えのするふたりだと思う。

CDだけでなく、DVD版が日本コロムビアから発売されているので、これから購入される方はそれがおススメである。

ぜひ、ロックがあらゆるポップ・ミュージックの中で一番カッコよかった「あの時代」をふりかえって見てほしい。