NEST OF BLUESMANIA

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音盤日誌「一日一枚」#69 アルバート・キング「LIVE WIRE/BLUES POWER」(Stax SCD-4128-2)

2022-01-22 05:28:00 | Weblog

2001年10月14日(日)



アルバート・キング「LIVE WIRE/BLUES POWER」(Stax SCD-4128-2)

1.WATERMELON MAN(Herbie Hancock)

2.BLUES POWER(Albert King)

3.NIGHT STOMP(Jackson-King)

4.BLUES AT SUNRISE(King)

5.PLEASE LOVE ME(King-Taub)

6.LOOK OUT(King)

68年6月、サンフランシスコのフィルモア・オーディトリアムにおけるライヴ録音。

アルバート・キングのステージは出来不出来の差が激しいとよく言われるが、これは間違いなく上乗、ピンの出来といえるだろう。

彼が本気を出せばいかにスゴい歌、ギター・プレイを聴かせるかを立証した一枚だ。

オープニングの(1)は60年代のファンキー・ジャズの代表曲。

アルバートはこの曲の途中からトレードマークのフライングVを抱えて登場するのだが、Vの特徴あるブライトな音でクイーンと弾き始めた瞬間から、もうやる気マンマンなのが感じられる。

ノリのいい一曲目から一転、いきなり重厚なスロー・ブルースが始まる。アルバム・タイトルともなっている(2)だ。

これが、文字通り「圧巻」の出来ばえ。

途中、アルバートによる語り(あるいはプリーチというべきか)をはさんで、延々10分以上インストゥルメンタルが続くのだが、そのサウンドの大きなうねりには、ただただ驚嘆するのみ。

とにかく、粘りに粘り、執拗にスクウィーズし続けるアルバートのギターがスゴいの一語。

緊張でピンとはりつめた感覚、その一方でリラックスしたムードもあり、そのふたつが絶妙にブレンドされているのだ。

およそブルースのライヴ盤があまたある中で、この一曲は十指に入る出来といえるだろう。

これはもう、実物を聴いて確かめていただくしかあるまい。

さて、大曲の後も、名演奏がめじろ押しである。

続く(3)はこのアルバムのプロデューサーでもある、MG'Sのアル・ジャクスンとの共作(インスト)。

いかにもスタックス系ソウルという感じのファンキー・ビートに乗せて、アルバート節が炸裂。

彼のギターはよく言われるように、どんな曲でも同じフレーズを貫き通す「ウルトラ・ワンパターン」なのだが、そのワンパターンが実に強力きわまりない。

彼のギターは表情が豊かで、本当によく「歌う」。

SRVをはじめとして、熱烈なフォロワーが多いのも納得がいく。

(4)は彼のクレジットになっているようだが、BBなどでもおなじみ、アイヴォリー・ジョニー・ハンターの名曲。

こちらのスロー・ブルースも(2)同様、9分近くの大熱演。

でも、長さを感じさせず、天井知らずのエキサイトぶりを見せつけてくれる。

長尺でも決してダレることのない彼のテンションは、脱帽ものである。

(5)は、イントロを聴けばすぐわかる、エルモア・ジェイムズ・スタイルの、ガッツあふれるシャッフル・ナンバー。

こちらもBBのナンバーとしておなじみ。アルバートのライヴァル意識がほの見えますな。

スモーキーでほとんど声を張り上げないヴォーカル・スタイルのアルバートなれど、ここではシャウトも交える盛り上がりぶり、いかにも場内がヒートアップしていることが感じ取れる。

ラストの(6)は、アップ・テンポの自作インスト。

これまたシャッフル・ビートでノリノリ、スクウィーズばりばりのギター・ソロを展開してくれる。。

それにしても、彼のフライングVはどうしてこんなにツヤっぽい音を出せるのだろうか。

彼こそは、テクニックより、むしろその「音色」で聴く者をノック・アウトすることの出来る、数少ないギタリストのひとりであるといえそうだ。

「気合い」「ダイナミズム」「表現の豊かさ」、いずれをとっても超一級の一枚。

ジャンルを問わず、ありとあらゆるライヴ盤の中で最高峰にあるこの「LIVE WIRE/BLUES POWER」、聴かずにいては絶対損!だと思う。

ロック・ファンにもおススメ。