2001年10月14日(日)
アルバート・キング「LIVE WIRE/BLUES POWER」(Stax SCD-4128-2)
1.WATERMELON MAN(Herbie Hancock)
2.BLUES POWER(Albert King)
3.NIGHT STOMP(Jackson-King)
4.BLUES AT SUNRISE(King)
5.PLEASE LOVE ME(King-Taub)
6.LOOK OUT(King)
68年6月、サンフランシスコのフィルモア・オーディトリアムにおけるライヴ録音。
アルバート・キングのステージは出来不出来の差が激しいとよく言われるが、これは間違いなく上乗、ピンの出来といえるだろう。
彼が本気を出せばいかにスゴい歌、ギター・プレイを聴かせるかを立証した一枚だ。
オープニングの(1)は60年代のファンキー・ジャズの代表曲。
アルバートはこの曲の途中からトレードマークのフライングVを抱えて登場するのだが、Vの特徴あるブライトな音でクイーンと弾き始めた瞬間から、もうやる気マンマンなのが感じられる。
ノリのいい一曲目から一転、いきなり重厚なスロー・ブルースが始まる。アルバム・タイトルともなっている(2)だ。
これが、文字通り「圧巻」の出来ばえ。
途中、アルバートによる語り(あるいはプリーチというべきか)をはさんで、延々10分以上インストゥルメンタルが続くのだが、そのサウンドの大きなうねりには、ただただ驚嘆するのみ。
とにかく、粘りに粘り、執拗にスクウィーズし続けるアルバートのギターがスゴいの一語。
緊張でピンとはりつめた感覚、その一方でリラックスしたムードもあり、そのふたつが絶妙にブレンドされているのだ。
およそブルースのライヴ盤があまたある中で、この一曲は十指に入る出来といえるだろう。
これはもう、実物を聴いて確かめていただくしかあるまい。
さて、大曲の後も、名演奏がめじろ押しである。
続く(3)はこのアルバムのプロデューサーでもある、MG'Sのアル・ジャクスンとの共作(インスト)。
いかにもスタックス系ソウルという感じのファンキー・ビートに乗せて、アルバート節が炸裂。
彼のギターはよく言われるように、どんな曲でも同じフレーズを貫き通す「ウルトラ・ワンパターン」なのだが、そのワンパターンが実に強力きわまりない。
彼のギターは表情が豊かで、本当によく「歌う」。
SRVをはじめとして、熱烈なフォロワーが多いのも納得がいく。
(4)は彼のクレジットになっているようだが、BBなどでもおなじみ、アイヴォリー・ジョニー・ハンターの名曲。
こちらのスロー・ブルースも(2)同様、9分近くの大熱演。
でも、長さを感じさせず、天井知らずのエキサイトぶりを見せつけてくれる。
長尺でも決してダレることのない彼のテンションは、脱帽ものである。
(5)は、イントロを聴けばすぐわかる、エルモア・ジェイムズ・スタイルの、ガッツあふれるシャッフル・ナンバー。
こちらもBBのナンバーとしておなじみ。アルバートのライヴァル意識がほの見えますな。
スモーキーでほとんど声を張り上げないヴォーカル・スタイルのアルバートなれど、ここではシャウトも交える盛り上がりぶり、いかにも場内がヒートアップしていることが感じ取れる。
ラストの(6)は、アップ・テンポの自作インスト。
これまたシャッフル・ビートでノリノリ、スクウィーズばりばりのギター・ソロを展開してくれる。。
それにしても、彼のフライングVはどうしてこんなにツヤっぽい音を出せるのだろうか。
彼こそは、テクニックより、むしろその「音色」で聴く者をノック・アウトすることの出来る、数少ないギタリストのひとりであるといえそうだ。
「気合い」「ダイナミズム」「表現の豊かさ」、いずれをとっても超一級の一枚。
ジャンルを問わず、ありとあらゆるライヴ盤の中で最高峰にあるこの「LIVE WIRE/BLUES POWER」、聴かずにいては絶対損!だと思う。
ロック・ファンにもおススメ。