僕らはみんな生きている♪

生きているから顔がある。花や葉っぱ、酒の肴と独り呑み、ぼっち飯料理、なんちゃって小説みたいなもの…

試験が終わって…②

2007年01月27日 | SF小説ハートマン
「どうしたの宇宙(ひろし)もういらないの?」
「何だかもういい。」
「それじゃぁ宇宙の分はお父さんがもらっちゃうぞ、やっぱりこのピザ美味い。」

「そんな所に横になったらお行儀悪いでしょう?みんなが終わるまできちんとしましょう。」
「うーん。」

「パフェでももらおうか、今日だけおごっちゃうわよ。さっきメニューでみたスペシャルマンゴーパフェ。」
「ううん、いらない。ママ食べれば?」

「宇宙、ちょっと…」

ママが急に怒った顔になって僕のおでこと首に手を当てた。
「パパ、ちょっと見て。宇宙、熱があるわ。」
「どれどれ、おう、こりゃかなりあるかな。熱いぞ。」

「ママ、パパって言った。」
「うんそうよね。でも面接の時は言わなかったから大丈夫よ。とりあえずこれで冷やしましょう。」
ママは僕のおでこにおしぼりを当ててくれた。冷たくてとっても気持ちが良かった。

「気持ちいいか。よし、少しそうやって横になってなさい。これ食べちゃうから。」
「何言ってるの、帰りますよ。パパ、タクシーどこかで拾えないかしら?」
「そうかぁ、じゃ行くか。」
お父さんは横目でピザを見て、ビールをぐいって飲み干して立ち上がった。僕も立とうとしたらおしぼりが滑り落ちた。拾おうとしたら腕が肩から震えていた。

「宇宙、震えてるじゃない。寒いの?」
「うん、ちょっと寒くなってきた。」
顔はほてっているのに体はどんどん寒くなってくる。ママがジャンパーを後ろから掛けて、その上からママのコートも掛けてくれた。少し温かい。

「ママ、ご飯食べたら吉田先生の所行くって…」
「そうだったわね。でもこれじゃちょっと無理よ。後で電話しとくわ。パパ、おんぶしてやって。」
「よしきた。久しぶりだな、おんぶ。」
お父さんの背中はあったかくて、お父さんの匂いがした。ぎゅっとしがみつくとママがコートを着せ直してくれた。今度はママの匂いがした。
コメント (18)
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