僕らはみんな生きている♪

生きているから顔がある。花や葉っぱ、酒の肴と独り呑み、ぼっち飯料理、なんちゃって小説みたいなもの…

Give me more sweet…⑥

2018年07月14日 | ケータイ小説「パトスと…」

 

 

 

 

 

私はもうあと2ヶ月で35になる。
同級生はほとんどみんな結婚して子どもも2人3人育てている母親だ。
それがどうした?自分は自分だろ、とも思う。

普通のOLでは考えられないほどの収入を得て、
高級マンションでひとり暮らし、生活はかなり贅沢だと自覚している。


 

恋愛?
そう聞かれるとどうなのだろう、男とはずいぶんつきあってきた。
だから私も成長したし、今の地位があるのかも知れない。

枕営業?
ライバル達はお店で指名を稼ぐ私を影でそうディスってる。
だけど私は一度だって指名を取るためだけに抱かれたことは無い。

いつだって本当の恋愛なんだと思っていた。


ちょっとしたきっかけでこの仕事をするようになって10年、
自分から好きになった男とは自然にそうゆう関係になった。

中には俺と結婚しよう、と言ってくれる人もいた。
だけどそんなことベッドの中だけの嘘だと初めから分かってる。

 

自分だけの恋愛でいいんだと自分に言い聞かせてきた。

 

だからか、大抵の男とは1年と続かなかった。
でもそれだからと言ってお店での人気は衰えることがなかったし、
お店のママも私を妹のように大事にしてくれた。

 

つづく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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Give me more sweet…⑤

2018年07月14日 | ケータイ小説「パトスと…」

 

 

 

 

「留美子さんは何にする?」
「さっき美味しいワインをいただいたから、なにか違うもの」

「それじゃぁこちらにマンハッタンを、僕はドライマティーニで」と
カクテルをリクエストした。


かしこまりました、とボーイが礼をして去ると
辰雄は留美子をじっと見つめた。

さっき辰雄さんはラウンジに移動して、私の欲しいものを聞く、と言っていた。


 

いつだって彼は私に「何が欲しい?」と聞く。

それは、洋服だったりアクセサリーだったり、香水だったりバッグだったり
するのだが、みんなデザイナーズブランドの高級ブティックでのことだ。

これが素敵、と答えるとすぐにそれは私へのプレゼントになる。

そんな生活を続けて5年が過ぎた。


カクテルを飲み干した頃、私はそっと彼の手を取る。
彼は私と他愛の無い会話をした後「留美子」と敬称無しで呼ぶ。
私は彼の手をぎゅっと握る。店を出る合図だ。

 


こんなことをもう5年も続けてきたのだ。

つづく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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