僕らはみんな生きている♪

生きているから顔がある。花や葉っぱ、酒の肴と独り呑み、ぼっち飯料理、なんちゃって小説みたいなもの…

Give me more sweet…⑦

2018年07月15日 | ケータイ小説「パトスと…」

 

 

 

 

ママの古い常連客のひとりに連れられて辰雄は初めて店に来た。

 

「よう、ママ。彼はね最近ぐっと力をつけてるんだ、よろしく頼むよ」
「まぁ素敵な方ね、スーツがお似合いよ。もしかしてダンヒルかしら?
ちょっと拝見してもいい?」

そう言ってスーツのタグを見る。ママの良くやるスキンシップのテクニックだ。

「ほら当たった。最近はアルマーニばっかり流行って
子どもの制服にもアルマーニって騒いでるけど、
渋い紳士は昔からダンヒルなのよ」
「おいおい、悪かったな、俺はアルマーニだぞ」


すぐに私が呼ばれた。

 

「この子、留美子。私の妹なのよ~、いい子だからいじめちゃダメよ」
「おいおい、俺がいじめたことなんかないだろ。妹?顔似てないしな」

 

何度か連れだって来たが、そのうち辰雄はひとりでも来るようになった。


辰雄はいつでも紳士だった。店の客の多くがそうであるように、
下卑た下ネタで無理矢理盛り上げようとすることも無かったし、
ITミュージック業界で大成功した業績を自慢することも無かった。


そんな辰雄に初対面の時から留美子は惹かれていった。

ひとりの辰雄は週に2度来店する時もあったし、1ヶ月来ない時もあった。

来店した時は必ず留美子を指名したし、他の客に付いている時は
ママがそれとなく気を遣って2人にしてくれたりもした。

レストルームから戻る辰雄におしぼりを渡す時、
さりげなくプライベートに誘われた時もさして驚かなかった。

いつかそうしてくれるだろうと期待していたし、
そうなるのが自然な気がしていた。

 

つづく

※画像はwebからお借りしたものです

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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