呪(しゅ)とは不思議なものよのう
突然なんだ?
「のろい」では無くて「しゅ」だ
安倍晴明がよく言っているアレのことか?
そうだ
お前がそんなことを言い出すなんて珍しいことよのう
良いではないか、たまには俺にも言わせてくれ
いいとも、それで「しゅ」がどうしたのだ?
駐車場に妖(あやかし)がいたのだ
なに、妖とな、その身に何か起きたのか?
いや、何も悪いことはせなんだ、むしろ可愛いヤツだ
なのに妖(あやかし)なのか
そうだ、俺を見て笑っていた
妖(あやかし)が笑ったのか、それが呪(しゅ)と関係あるのか?
俺が見つけなければ、誰も存在に気がつかない只のゴミだ
ゴミ?
俺が見て、ソレが俺を見た時、呪(しゅ)ができた
お前がその妖(あやかし)を認めたという訳だな
お前は話が分かるな
長い付き合いだからな
アイツは俺の心の中に生き続けることになったのだよ
かわいいヤツか、まぁ飲めよ辰雄
早咲きの桜が散り始めた春の宵であった。。