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北国の寒さも一気に緩み、白鳥が北へ帰る準備を始めた。ファミリーなのか、仲間なのか、数羽もあれば10羽以上もある夫々の群れが、大空で何やら騒ぎながら旅立ちの朝練をしている。
生まれた自分っち(家)は、人里離れた山の中腹にあって獣や野鳥と戯れながら育った。生活の為もあり捕獲もして小遣いを稼いだ。そんな昔の非業を忘れてくれても良いのに、時々悪夢にうなされる。
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1963年高卒で身寄りがない東京に就職した。ある時、同郷の連中と亀戸で安酒を飲んだ勢いで、上野駅18番線ホームに足が向いた。
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然し、高卒給料が2万円に満たない時代、列車運賃は高額で帰りたくても帰れない北帰行であった。
この鳥たちはシベリア生まれなのだろうが、帰り着く土地は戦争もない平和で安全な住み良い自然環境溢れる野山であって欲しいと願う。
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生まれた自分っち(家)は、人里離れた山の中腹にあって獣や野鳥と戯れながら育った。生活の為もあり捕獲もして小遣いを稼いだ。そんな昔の非業を忘れてくれても良いのに、時々悪夢にうなされる。
そう言えば、お袋の野良仕事の側に、体が弱ったタヌキが現れバッタリと倒れた事があった。
家に連れ帰り食事を与え介抱してやったなら、元気になりしばらく一緒に暮らしていたが、やがて山に逃げて行った。この恩知らずなタヌキもきっと自分の家に帰りたくてそうしたのだろう。
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1963年高卒で身寄りがない東京に就職した。ある時、同郷の連中と亀戸で安酒を飲んだ勢いで、上野駅18番線ホームに足が向いた。
田舎が恋しくなって、東北本線の発着駅に来てみたくなったのだろう。まだ新幹線がない時代だったから、ここは郷愁に繋がる貴重な場所だった。
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然し、高卒給料が2万円に満たない時代、列車運賃は高額で帰りたくても帰れない北帰行であった。
=おわり=
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