
昨日敬老の日に、新しい生徒さんが初めてお稽古にやって来ました。
その方は茶名を持っている40代の男性です。
前回、見学に来られた時と違って口数も少なく、きっときっと緊張していたことでしょう。
その日はお一人だけでじっくりお点前を拝見したかったので、簡単なランチを用意して待っていました。
祭日ですが急に午前中に仕事が入ったとの電話があり、仕事先からそのまま1時間ほど遅れていらっしゃいました。
先ずはランチタイム。「腹が減っては何とやら・・・」ですもの。
今日のお稽古は、基本の濃茶平点前と薄茶平点前です。
好みの茶入(といっても和物は2種類から・・・)や棗を選び、茶を入れてもらいました。濃茶はスケールで2人分を量ります。
茶碗を小戸棚から選んでもらい、茶巾、茶筅、茶杓を仕組みます。
支度や水屋の様子を拝見していると、きちんとお習いしてきたことがわかり、お点前が楽しみでした。

準備が整ってから、茶室でご挨拶をしました。
「本日より、お稽古をどうぞ宜しくお願いいたします。
濃茶平点前のお稽古をお願いいたします」
「ようこそ当教室にいらしてくださいました。
濃茶平点前は四畳半小間として、薄茶平点前は八畳広間でなさってください」
先ずは菓子の入った縁高を運び出してもらいました。蓋に打たれた露に秋の星空を思いました・・・。
主菓子はきんとん、うす紫とクリーム色の掛け分けで石井製です。
茶道口で茶事の時と同様の挨拶をしてもらいました。
静かに襖が開き、濃茶平点前が始まりました。
足の運びがとてもきれいで、動線、歩幅、速度も適正でした。
数か月稽古をしていなかったとのことですが、スムースに点前が進んでいきます。
2人分の濃茶を点てて頂き、2人で頂戴しました。
「いかがですか? 自分で点てた濃茶は?」
「少し練りが足らないように思いました・・・」
(暁庵は美味しかったのでもっとたっぷり味わいたかったです・・・)

濃茶に続いて、一番難しい薄茶平点前を見させていただきました。
茶道点前の三要素のことを思い出しながらお点前を拝見していると、たまさかの茶事で出逢うような、何とも言えない心地良さを感じたのです。
「あらっ! この心地良さはいったい何だろう?」
思い当ったのはリズムでした(これも適切な表現ではないのですが、とりあえず・・・)。
帛紗を捌き棗や茶杓を清める動作、茶碗を拭く動作、湯を汲む動作などの所作の間合いが暁庵の間合いにぴったり合っていたのです。
点前の所作はもちろんのこと、生み出される全体のリズムがこんなに心地好く感じられるのは稽古中では珍しいことでした。

そのことをM氏に伝えると、はじめてニッコリ素敵な笑顔を見せてくれました。
暁庵の裏千家茶道教室 前へ 次へ トップへ