待合 「榊」 宙宝宗宇筆 明堂筆 榊の絵
令和2年(2020年)1月5日、今年もまたS先生の初稽古へ東京教室のOさまとYYさまとOYさまと4人で参席しました。
毎年、初稽古は兵庫県有馬温泉の有馬グランドホテル・雅中庵で行われています。
新横浜駅8時29分発のぞみ号で新神戸駅へ向かい、11時30分にはホテルに到着し、ロビーでOYさまと合流。
12時からS先生を囲んで全員で昼食を頂きました。
東京教室からOさま、YYさま、OYさま、暁庵の4人が参加できてヨカッタ!と思いましたし、S先生もご挨拶に廻って来られ、嬉しいそうでした。
その時は「美味しいね!」と皆でお話ししながら夢中で頂きましたが、御献立を見ると、兵庫県有馬温泉らしい料理がたくさん盛り込まれているのに気が付きました。例えば、柚子酒炭酸割り、百合根饅頭と蟹の湯けむり蒸し、神戸牛味しゃぶしゃぶなど・・・写真がないのが残念です。
昼食後に雅中庵の濃茶席と薄茶席へ廻りました。
久しぶりに懐かしい社中の方々とお会いして、ついお話が弾み、濃茶席の開始時間ぎりぎりに到着、入り口で奥様がはらはらした様子で待ってくださって、誠に申し訳ございません。
菓子席御床 淡々斎筆「知足富」 蓬莱飾り
待合や菓子席の御床は後でゆっくり拝見することにし、濃茶席へ滑り込みました。
まもなく、縁高が運び出され、末富製(まだ今日庵の初釜の前なので)葩餅にかぶりつきました(懐紙で口元を隠しながら・・・)。
1年ぶりの葩餅に感激していると、縁高が拝見に回ってきました。
縁高は3種、吉野絵(利休好)と溜片木目と唐松蒔絵爪紅です。手に取ると驚くほど軽く、それぞれ違う味わいで素敵ですが、吉野絵が正月らしく華やかでお好みかな・・。
濃茶席 御床 近衛前久筆 元日詠草
御床の掛物は、和歌のようですが、元日・・・所々しか読み取れませんで会記より書き記します。
近衛前久筆 元日詠草
東よりかすみそめつつ くる春の
わがものかほに いはふ山さと
立ちそうか春風かすみ老のなみ
先生のお話によると、「最後の一行は俳句のようですが、この時代にまだ俳句は流行っていないので、連歌の発句だと思います」とのことでした。
花は、ふっくらと見事な蕾の曙椿と鶯神楽です。
花入は、又玄斎一燈作、仙叟好窓二重です。今年は又玄斎一燈の生誕300年だそうですが、二重窓の形やカスガイで止めた継ぎ目の斬新なデザインが印象に残りました(ため息~)。
襖が静かに開けられ、S先生の濃茶点前がはじまりました。
袱紗が捌かれ、茶入、茶杓と清められていきます。
自然体ですが、指の先まで神経が行き届いているような緊張感のある所作は美しく、全員が先生の一挙一動を息を凝らして見つめます。
そして、茶入から3杓掬いだされた後、サラサラと滝のように緑の抹茶が回し出され、その美しさにうっとりと魅せられます。
12代慶入作嶋台の亀に続いて、鶴茶碗で7人分が練られ、東京教室のお仲間4名と御一緒に頂戴することができたのも素晴らしい思い出になりました。
濃茶席の茶碗は、如心斎好嶋台(慶入造)と飴釉嶋台(九代長左衛門造)と古萩筆洗茶碗です。
濃茶は「延年の昔」(星野園詰)、香り佳く、まろやかな甘みを感じる濃茶で美味しく頂戴しました。
茶入は瀬戸破風窯の翁手で銘「玉津島」、落ち着きのある形、味わい深い茶入と嬉しい再会を果たしました。「玉津島」は玉津島神社(和歌山市和歌の浦)のことで、和歌の神様を祀る神社(他に住吉神社と柿本人麻呂神社がある)として天皇や貴族、歌人たちに崇拝されてきました。
茶入「玉津島」には小堀権十郎箱書があり、箱には素晴らしい和歌が書かれています。
人問はば知れる翁の夜語りを
昔にかえす和歌の浦波
茶杓は、坐忘斎作で銘「天眼」、華甲のお祝いにお家元から頂戴した茶杓でした。「天眼」の意味するところをお話し頂いたのですが、思い出せず・・・とほほです。
濃茶席から薄茶席へ移動しました。今年の薄茶席は花組さんの担当でした。
とても分かり易く丁寧に御床やお道具のことをお話してくださり、濃茶の後の薄茶を美味しく頂戴しました。
薄茶席は先生がいらっしゃらないのですが、その分余計に先生の初稽古への気合いというか、新しい年への思いや、社中に対する熱い眼差しが道具組や茶碗の一つ一つに感じられ・・・幸せでした。
薄茶席点前座の設え
今日の初稽古に、どんなにたくさんの時間とエネルギーをかけてご準備くださったのだろう・・・と思うと、有難く涙がでる思いです。
今年も初稽古へ参席できたことが嬉しく、来年も出来る事なら元気で参加したい・・・と願っています。
その日はOさま、YYさまと有馬グランドホテルで一泊し、有馬の名湯・金泉と銀泉に浸かってきました。
「今年も春から縁起がいいわいなあ~」