暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

更紗

2010年06月05日 | 茶道具
K先生の元で仕覆づくりを習いだしてから、半年になります。
今、茶籠に入れる棗や茶碗の仕覆を作っています。
教室に飾られている道具類や仕覆がどれもステキで、
伺うのがとても楽しみなのです。

季節によって入れ替えられて、茶道具として使うだけでなく
このような楽しみ方があることが新鮮でした。
私も真似て、展示鑑賞コーナーを作ってみましたが、
物置にならないようにしなくっちゃ・・・。

先生が愛蔵の茶籠を見せてくださいました。
古い茶籠ですが、内側と蓋裏に布地が張られています。
一つには豪華なふたば葵の刺繍がしてある古布が、
もう一つの茶籠は更紗が張られていました。
茶籠と時代を合わせているそうです。

更紗の持つエキゾチックで庶民的な味わいが好きで
「この更紗がステキですね。
 更紗が好きですが、なかなか手に入らなくって・・」

先生は一冊の本を手にとって
「こういう本を身近に置いて 時々パラパラ見ておくと、
 更紗のこと、自分の好みや 茶道具との釣り合いなどが
 だんだんわかってきますよ」

(パラパラと見て・・)素敵な本だったので
早速、購入して愉しんでいます。

               

その本によると、更紗(さらさ)とは、
「17世紀頃から江戸時代を通じて日本に舶載された、
 外来の模様染め布の総称」
で、製作地や技法が異なるさまざまな布が含まれているそうです。
インド更紗、ジャワ更紗、ペルシャ更紗、ヨーロッパの銅板更紗、
日本で模様を真似て作られた和更紗などがあり、大部分は木綿です。

和更紗(絹)の着物が2枚あります。
1枚は亡き母から譲り受けたもので、
無双仕立てになっているので、4月~5月に愛用しています。
母もよく着たらしく、裾が擦り切れかけています。
洗い張りに出して無双に仕立て直すか、単にするか迷っています。
まだまだ着たい一枚です。

もう一枚は、四十代初めに自分で購入した江戸更紗の着物です。
展示場で気に入り、仕立ててもらいました。
今でも着ていますが、その当時はスマートだったので
お茶の稽古には身幅が狭いのが悩みでしょうか。

                             

参考:
 別冊太陽「更紗」 監修・小笠原小枝 平凡社 (本体価格2800円)

    写真は、「江戸更紗」と「更紗」の本

茶事入門教室Part2を終えて

2010年06月02日 | 茶事教室
5月29日に茶事入門教室part2・初風炉の茶事が終了しました。

亭主のNさん、半東のHさん、正客のIさん、詰のNさんにお役を
お願いしましたが、初めての方がほとんどでした・・・。

待合は、大徳寺 桃林和尚筆で「雲無心」の短冊です。
「漂う雲のように、無心な気持ちで今日の席に臨みたい」
というご亭主の気持ちが込められていました。

本席のお軸は「清流無間断」。
初風炉の茶事のテーマは、「水」です。
「五月、五月雨、雨、水・・・水は万物の源、大河の一滴、
そして今回のチャレンジが今後の成長の一歩」
と願って「水」とされたそうです。

Nさんは、仕事の合間に茶事のシュミレーションや稽古を重ね、
見事な風炉の灰型に研鑽の様子が伺われました。
初炭で使われた香合「白紙」は、漆芸家との合作です。
「お茶を通して知り合った方々とのご縁に感謝しながら、
 その出会いの中で作成した思い出の自作を・・・」

緊張しながらも見事な亭主ぶりで、主客の問答も愉しく、
おもてなしの気持ちがお客さまへ十分伝わった事と思います。
きっと今頃は茶事をやり終えた安堵と達成感に浸っていることでしょう。

Hさんも半東は初めてで、最初とても緊張した様子でした。
半東の重要な仕事の一つ、火入れの灰型をこれまた見事に作られ、
きっと猛練習されたことでしょう・・・。
懐石や薄茶を運ぶ所作がきちんと出来ていて感心しました。
あとで「S先生が水屋で細かくご指導くださり、
肩を押して送り出してくださったお蔭です」と伺い、S先生に感謝です。

             

待合でお客さまへ宿題を出しました。
初風炉の茶事ですが、別にテーマがあるようなので、
それが何かを考えて欲しいこと、
もう一つは、最後の挨拶の時に心に残ったことを一つだけ
お話しください・・・とお願いしました。

正客のIさんは、とても落ち着いて誠実な言葉で応接され、
ご亭主の趣向や気持ちをきちんと受け止められて、流石でした。
詰のNさんは足を痛めたと伺っていたので心配していましたが、
初挑戦のお役を立派に果たされました。

今回は2回目なので、相和して時が過ぎていきました。
濃茶の心地好い緊張感、その後の後炭、薄茶と、次第に座がなごんで、
お客さまも学びながらも楽しんで頂けたようで安堵しております。

最後の挨拶では、皆様それぞれ心に残ったことを話してくださって、
ご亭主も半東さんもきっと感激されたことでしょう。
茶事終了後、皆様のお顔が輝いていたのが、とても印象に残りました。

次回は10月2日と12月初めを予定しています。
また、茶事教室でお会いできます事を楽しみにしています。


                      その日はときどき

        写真は「清流無間断」
             「柏葉紫陽花」(写真提供:「季節の花 300」 )