ヒトリシズカのつぶやき特論

起業家などの変革を目指す方々がどう汗をかいているかを時々リポートし、季節の移ろいも時々リポートします

ミステリー本「花咲小路四丁目の聖人」を偶然見つけて、一気に読破しました

2011年12月29日 | 
 先日、都内の大型書店に行った際に、小路幸也(しょうじゆきや)さんが執筆されたミステリー「花咲小路四丁目の聖人」を偶然見つけ、何となく買ってしまいました。

 日ごろ購入する好みの書籍とは異なるものを、1、2冊を衝動買いすることがあります。今回も、この本に何となく魅入られて購入しました。2011年11月15日に発行された「花咲小路四丁目の聖人」(発行はポプラ社)は、小路幸也さんが書かれた不思議なミステリーです。



 少し中身に踏み込んだ内容紹介をします。主人公は矢車亜弥という学習塾を主宰する若い女性です。彼女が進行役を務め、地元の花咲小路商店街に降りかかる大事件(予想以上の規模の大事件です)の顛末を語ります。

 影の、そして本当の主人公は亜弥さんの父である矢車聖人です。これは日本名で実は、英国人です。英国の“最後の泥防紳士”の「セイント」と呼ばれた老人(70歳)が、ある理由で日本の片田舎に住んでいます。この老人は非常に賢いやり方で、花咲小路商店街に降りかかる大事件を解決します。

 問題は、どうやって解決したかですが、表面的に経緯が書かれているだけです。話の中身が隔靴掻痒(かっかそうよう)で、まさに靴の上から足のかゆいところをかくように、核心にふれないで、歯がゆいのです。これが、この本のテイストであり、工夫点でもあるのです。人によって、好みが分かれる奇妙な味わいです。

 WebサイトのAmazonに載っている「花咲小路四丁目の聖人」のレビュー(書評)を見ると、この点が失敗作だと決めつける書評が載っています。でも、この点が独創的な味わいでもあるのです。こうした文体・構成もあり得ると感じました。独特の“軽み”を漂わせているからです。

 作者の小路幸也さんは、集英社が発行している 「東京バンドワゴン」シリーズを書いた方として有名です。



 2002年に作家としてデビューし、毎年多くの小説を書かれている多作の作家です。現在、北海道江別市に住んでいるそうです。

 こうした独特の味わいの本を見つけられる点が、書店に行く魅力です。先日、新聞に日本の出版売上げが減り、出版不況の深刻化を示したとありました。こうした面白い本が増えてくれることで出版事業が一定規模で残ることを祈念しています。