真保裕一の『密告』(講談社)が面白かった
警察署内部の暗部と告発者。
告発者には警官でありピストルの国内有力選手。次のオリンピックを目指している。
ライバルの上司にどうしても勝てず、ついに「不正」を密告する。
その密告が上司の軽い処分で済まされると同時に、密告者が発覚。
職場内で厳しい立場に置かれる。
そしてさらなる密告。
主人公は窮地に立つ。実に覚えのない告発の真相を形振り構わないで追跡していく。
この背筋がゾクゾクする様な緊張感が堪らない。真保はこういう人物の心理描写が細かくて実に巧みだ。
俵山山頂からの眺め
もう一冊。古本屋で見つけた福元武久の『小説・新島八重 会津おんな戦記』(新潮社出版)。
テレビで放映されていて毎週見ていることもあって購入した。
内容は戊辰戦争で会津が敗れ、城明け渡しまで。
TVで見ている所為か、目新しい記述はなくあまり感動のない凡作だった。
テレビで本でもこの山本家のあり様について二つ心に引っ掛かることがある。
それは八重と尚之助との別離。会津落城の際、藩士は僻遠の地斗南に追いやられていくのだが、他藩から支援のために会津にいた武士は江戸=東京へ送られる。その時に尚之助は必ず会いに来てと懇願するのだが妻の八重はこれを拒否している。なぜ戦後になっても八重が頑なに復縁することを求めなかったのかー
京都の兄のもとに馳せ参じ、兄の助力をするのだが、なず深く傷つき病んだ尚之助を助けようとしなかったのか?
それに覚馬の嫁。うらは娘のみねを京都の兄のもとに送りながら、自分は夫のもとにどうしても行こうとしなかった。もしかしたらうらは覚馬が京都で愛人と暮らしていることを人伝に知っていたのかもしれないけれど・・・
テレビで長谷川京子?はとても可哀想で泪を誘った。