![]() | 社会的責任のマーケティング―「事業の成功」と「CSR」を両立するフィリップ・コトラー,ナンシー・リー東洋経済新報社このアイテムの詳細を見る |
8章では、社会的責任に基づく事業の実践~コーズを支援するための自主的な事業活動と投資ということで実践論が述べられている。そこで、あらためて、社会的責任に基づく事業とは何かについて、見ておこう。「環境保護やよりよい地域社会の実現と行った社会的コーズ(主張)の支援を目的とする自主的な事業活動や投資のことを言う」ということのようだ。
社会的責任に基づく事業を実践することでの企業へのベネフィットとしては、
・オペレーション費用の削減
・地域社会における企業評判の向上につながるということ
事例として、コカコーラがアフリカにおいてエイズ/HIVへの取り組みを行なったことがあげられる。同社はアフリカでの従業員に基本的なエイズに関する知識の教育、テストを無料で行なうとともに、カウンセリングを行なうなど、自社従業員に対し、予防策の徹底とその対策を行なっている。日本だとなかなか踏み込みづらい領域かもしれないが、従業員全員にコンドームを無料配布したようだ。
また、企業方針の策定しそれを財団とともに実施することでアフリカにおけるプラスの企業評判を作ることにも繋がっているという。
・ターゲット市場におけるブランド選好の形成
・影響力のあるパートバーシップの形成
・従業員の暮らしと満足の向上
・望ましいブランドポジショニングへの貢献
もう一つ参考になる事例を共有しておこう。クラフトフーズにおける取り組みである。クラフトでは、健康なライフスタイルを実現することを補助するための自社製造という位置づけの元、自社商品のバラエティ化及び、製品成分の見直しを行なったという。背景としては現状世界中で最も深刻な健康問題として肥満の増加ということがあるということがあげられる。
クラフト社経営幹部のコメントとして「多くの人々が健康なライフスタイルの重要性を確信するようになると、彼らは自らの目標を達成できる製品やサイズを求めるようになるだろう。当社はそのような人を支援する企業を目指しているのだ。」というコメントがあるように、
基本的なことではあるが、自社製品が何のためにあるのかということへの問いかけから、従来型の広告キャンペーンにとどまらない方法であり、かつ消費者心理にプラスの波及をもたらすCSRの取り組みがなされるのではないかと思う。