○ よく2社が組んで、50%-50%の合弁企業を設立し事業を開始します。合弁契約の内容としては、出資比率50-50のみならず、取締役派遣人数も例えば、双方とも2人同数計4人指名できると定めます。この場合の問題点として、意思決定がスムーズに行いませんし、事業の推進に不都合が生じます。「双方が、そのノウハウ・技術・人材・資金を対等に出資して、協力して合弁会社を起こして、大きな事業を育てよう」ということは、総論としては良いでしょうが、各論はうまくいかないケースが非常に多いですね。結婚と一緒ですね。創業は易く守成は難しですね。
例えば、A社は合弁会社の会長、B社は社長を指名できると決めます。これは、会長・社長は普通一人だからですね。名前は、会長・社長ですが、総理大臣とか社長を2名選出したらどうでしょうか?(会社法上はできますね。定款に、当社は社長を2名選出すると記載すればですね)会社は動きませんね。そういった事が、現実に起こっています。
○ 経営支配とは、人(派遣役員・技術者等)、物(提供技術・原料供給/販売先・ノ ウハウ)、及び金(出資金、融資/保証金額)によりなされます。お金だけで考えるべきものではないですね。しかし、お金が重要な決定要素ということで、連結会計基準(22号7項)では、まずお金で取得する株式の議決権の基準で考えますね。即ち、「議決権の過半数を自己の計算において所有している企業」を連結対象子会社にします。では、50-50の場合は、例外はありますが、基本的には合弁会社は、両方の株主にとり持分法適用会社となり、連結子会社とはなりません。これまた中途半端ですね。
○ 50-50合弁の場合、Deadlock 条項をどの様に書けば良いか悩みますね。いい解決方法が無いからです。企業が組織的に動くには、指揮官が必要ですが、指揮官が2人居れば、うまく動かないのは常識なのに、50-50合弁を作ってしまうのですね。私に言わせれば、合弁を作るときにハッキリどちらが主導権を握るか(どちらが過半数の議決権を握るか)、きっちり決めて作ること。50-50で、双方が譲歩しないなら、そんな合弁は作らないぐらいでないといけないと思います。大体、上がお互い握手してなあなあで作った後に、いろいろ深刻な問題が出てきて、下が苦労するのが多いですね。
○ 合弁会社の取締役会等がDeadlockに直面したときの解決方法については、2013.5.12の「合弁契約のDeadlock条項」をご参照下さい。欧米の契約では、持株全部を買うか・売るかというドラスティックな方法が多いですが、もっと中間的な方法があってもよいのではと考えています。また、Deadlockを生じさせる問題には、深刻度・程度の差があります。そういった視点から、いくつかのステップを合弁契約に書いておくのも手だと考えています。
・問題点としては、合弁会社の存続に重大な影響を及ぼす事項かどうか?この場合なら、Yes/Noをハッキリさせる、即ち合弁解消の方法を入れることだと思います。
・しかし、それ程重大な問題でない場合には、持株の一部買取・売却のcall option・put option条項を記載しておき、特別決議を可決出来ない議決権比率への調整ぐらいでいいのではないかと思います。
・あるいは、特別決議を可決できる持株の売却・買取オプションを入れておいてもいいですね。
・外国では、議長にCasting Voteできる権利を与える方法もあります。当事者が話し合っておれば、いたずらに時間が過ぎます。これなら手っ取り早い方法ではないでしょうか?
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