まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

中国の傘型公司

2014-06-14 00:27:55 | 企業一般

 中国への投資についての本は、山ほど出ていますね。中国は「いらっしゃい」「いらっしゃい」と投資セミナー等を開催して、その口車に乗って中国に行って会社を作っても、そう簡単には儲けさせてくれません。人件費も高騰して安い人件費を求めて中国進出するという発想もなくなりつつあります。既にうまくいかなくなった企業も多く出てきました。最近は、中国からの撤退のセミナーもはやってきました。撤退しようとして、少し残った残余財産を日本の親会社に戻そうとしても、送金許可を下ろさないで塩漬けというのも多そうですね。いったん中国に投下した資本は、もう殆ど戻せないと考えたほうがいいでしょう。また、企業の中には、複数の中国子会社を持っており、利益を出している会社もあるが損失を出している会社もあるので、これをどの様に管理するかという課題も出てきました。複数の中国内の中外合資や外商合資・独資有限公司をリストラの一環として、傘型公司の下に統合しようと考えるところもあります。しかし、これも簡単にはいきません。今回は傘型公司(投資性公司)の話です。

 

 

【傘型公司設立の背景】

 傘型公司=投資性公司は、資本金を投資に回し傘下企業を保有することを認める会社ですね。中国政府の意図は、中国内の投資を増やすということですから、地方レベルでも最低登録資本金US$3000万は現金払い込みです。相変わらず金持ってやってこいということです。かつては、中国政府が投資性公司に対して傘下企業が生産する輸出向け商品等の国内販売権を優先的に付与するよという人参を示して、国内ビジネスが制限されていた時代に、日本の大手商社が、国内販売権を取得するために投資性公司を設立する場合が多かったですね。しかし、最近は投資性公司を中国における統括会社と位置づけ、中国事業のリストラ、あるいは規模拡大や効率性向上に向けて、日本本社からの権限委譲や役員派遣を進め、また中国に複数ある現地法人の統括機能を持たせるために設立されているようですね。

 

【傘型公司の特徴等】

1) 投資会社として子会社持分の保有や中国投資全般の投資管理・統括を行う。 

2) お金を持った会社として借入保証という財務的支援が出来る。但し、1US$以上の国家レベルの投資性公司を除き、関係会社への直接貸付は出来ません。中国では企業間の金銭の直接の貸し借りは出来ません。銀行を介在させて委託貸付なら可能ですが、銀行は手数料を取りリスクは一切負いませんね。

3) 傘下企業の販売・マーケティングを行ったり、中国向け商品の研究開発を行う場合もあります。

4) 傘下会社の経理事務等のシェアード・サービスの中心として、傘型公司で集約して行い効率化を計る場合もあります。

5) 負債資本比率の上限が4~6倍と高い。即ち、海外からの借り入れが多く出来る。

6) 傘下公司から傘型公司への配当時に企業所得税が免税される。但し、海外の親会社への配当時は課税対象となります。

 

【傘型公司のデメリット】 

1) 傘下会社の持分を譲渡する時の税率が25%と高い(外国=非居住企業が中国会社の持分を売却する場合は、譲渡益の10%が課税される)。

2) 傘型公司は地方政府レベル最低3000USDの資本金ですが、この分は現金で払い込み。既存の中国企業の持分を傘型公司に現物出資するのは、この枠外で、しかもいろいろ条件を満たす必要があります。

3)  投資先(傘下)企業の設立は、通常通りで、手間のかかる許認可取得が必要。

4) 傘下会社へ経営指導を行い、傘下会社が指導料を傘型公司に支払っても、損金算入ができない。

5) シェアード・サービスの対価は5%の営業税(+各都市の附加税で実際は合計で6%強)が賦課される。上海等は1年半ほど前から、政府のお達しで営業税はやめて増値税となりましたが、支払い税額という点では殆ど変わりません。

 

 

まあ、中国への投資も、ますます多様化・複雑化しています。政治情勢もおかしくなって来ていますし、カントリーリスクも増大している気がしますね。ますます難しくなってきていますね。


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