○ 最近は少し低調になったかもしれませんが、投資先・事業地としてインドを考える企業も多いと思います。ということで、今回は、インドの会社法の概要を調べて勉強ノート代わりにまとめました。外資の規制も、ネガティブリストに無い業種については100%出資までOKですから、12億人のマーケットを狙って進出する企業も継続的に出てくると思います。<o:p></o:p>
<o:p></o:p>
○ 会社の種類:英国の会社法の影響を受けていますね。①公開会社・非公開会社、②有限責任会社・無限責任会社、③株式会社(Company Limited by Shares)・保証会社の種類があります。これの組み合わせですね。但し、保証会社に無限責任会社は無いですね。また保証有限責任会社(Company Limited by Guarantee) は、芸術・科学等の非営利目的で設立されるのが普通ですので、英国と一緒ですね。<o:p></o:p>
<o:p></o:p>
○ 以下では、日本企業の一般的な進出形態である、非公開株式有限責任会社の概要を記載してみましょう。但し、日本の上場会社が100%保有すれば非公開会社ですが、現地企業等と合弁にすると「みなし公開会社」となりますので注意が必要です。
1) 非公開会社(Private Limited):株式の譲渡制限+株主(発起人=Promoter)は2名以上50人以内+株式・社債の公募禁止<o:p></o:p>
2) 設立・資本等:準則主義で発起人が署名・認証済みの基本定款(Memorandum of Association)と付属定款(Articles of Association)を会社登記所(Registrar of Company)に登録して登記所から設立証明署(Certificate of Incorporation)を取得すれば会社成立。発起人は2名以上必要ですから、実質100%子会社を設立する場合は、昔日本で行われていたような形式的な株主を少なくとも1名作らないといけません(従い形式的には100%子会社は作れない。尚、インド会社法では、名目的株主=nominal shareholderというのは、利益配当受益権を第三者(株主で無くてもOK)に与えて共益権=議決権等を行使する株主を指します。形式的と名目的を区別しています)。また、商号は、類似商号の関係上登記所の承認が必要ですね。基本定款・付属定款とも登記所への登録が必要で、定款変更は総会特別決議事項。但し、授権資本の増額は、付属定款で認めておれば総会普通決議事項。最低資本金制度があり、10万ルピー(1ルピー=約1.5円)。現物出資も可能。但し、非居住者が一定額以上の現物出資を行う場合は、外国為替管理局の承認が必要。授権資本内での増資は、第三者割当増資も含めて取締役会決議で可能。新株引受権(Preemptive Right)は、付属定款に記載されている限り有効。<o:p></o:p>
<o:p></o:p>
3) 株式・払込等:額面株式のみで、配当優先・残余財産分配等の優先株式を発行できるが、優先株式には議決権が無い。但し、配当優先の場合で配当が無い場合には議決権が生じる。払込は、日本の場合は全額ですが、付属定款や取締役会で決定すれば分割払込が可能。<o:p></o:p>
<o:p></o:p>
4) 株主総会:定足数は議決権の数では無く、株主の人数(頭数)ですので注意が必要。非公開会社では2人以上の株主の出席です(ですから、A,B,C3人の株主が、それぞれ90%、5%、5%を保有している場合、BC=10%株主が総会に出席し90%株主のAが欠席すれば、Aの意思は決議に反映されない)。従い、株主は2人以上という規定になっていますが、名目的株主を作る場合には注意が必要。また代理主席は可能。決議は、出席株主の挙手(showing hands)により行われるのが原則で、普通決議は出席株主の過半数、特別決議は3/4以上の賛成で可決。挙手であり保有議決権では無いので、投票=議決権ベースで行えるようにしておくことが大切。即ち、定款で、定足数は議決権ベースで計算する旨の規定及び総会決議は投票で行う旨の規定を設けないといけない。要注意項目です。また株主の頭数も一定数以上確保しておく必要があります。<o:p></o:p>
特別決議事項(正確には3/4以上では無く「反対票の3倍を下回らない(not less than three times)賛成票」)は、基本定款・付属定款の変更、自社株式の取得、商号変更、合併、減資、解散等ですね。また、普通決議事項で、賛否同数・デッドロックの場合には、議長に決定権が与えられている。<o:p></o:p>
<o:p></o:p>
5) 取締役・取締役会:取締役は、原則として総会普通決議で選任&解任。員数は非公開会社は2人以上で任期に制限無し。任期途中で辞任の場合等は、取締役会により残期間の取締役を選任。また、3ヶ月以上取締役会が開催される場所に居ないときは、取締役会は、代理取締役(alternate director)を、付属定款又は総会決議で選任できる。(普通は付属定款に規定されている)
取締役会は、3ヶ月毎に開催。権限は、法令&定款で総会決議事項とされている以外の事項で、業務執行の全てに付き決定できる。定足数は、開催時点の全取締役の1/3以上、又は2人以上のいずれか多い方の出席が必要で、決議方法は出席取締役の過半数を基準とするのが一般的。<o:p></o:p>
<o:p></o:p>
6) 監査役:法定機関で、公認会計士であること。定時総会毎に選任。人数は1人以上。<o:p></o:p>
現地の弁護士を起用して会社を設立すると思いますが、株主総会は上記ですから、渡される標準的な基本定款・付属定款をきちんと読んでチェックすることが重要ですね。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます