○ 先日、ある中国人評論家の講演を聴いてきました。今回はその報告です。その評論家は、四川省出身で、84年に北京大学哲学科を卒業。その後来日され、日本の大学の文化学研究科博士課程修了し、民間研究機関に勤務されています。07年には日本国籍を取得されました。2002年に『なぜ中国人は日本人を憎むのか』(PHP)を著して以来、テレビ出演やマスコミでの論文掲載などを通じて活躍中です。今回は、ホットな話題である尖閣諸島沖漁船衝突事件を踏まえて「中国の実態」について、お話を聞きました。上記の他に、『「日中友好」は日本を滅ぼす―歴史が教える「脱・中国」の法則』(講談社)、『日中の宿命』(扶桑社)、『論語道場』(致知出版社)などの著作もあります。
○ 尖閣諸島(中国名:釣魚島)について、中国は固有の領土であると宣言しているため領土問題は中国の立場から言えば以前からあったが、鄧小平時代は、この解決は次の世代に任せるとして棚上げにされた。これは、当時の中国にとっては、日本の技術・資金等が魅力的だったためであり、日本を刺激せず安心させるためであった。
・ 今回の漁船衝突事件は、偶発的な事件であったと思う。しかしその背後には必然性がある。この10年中国は軍事力・海軍力拡大し、周辺海域でも潜水艦を出没させている。今回は、最初から仕込んだものではないし誤算もあったかもしれないが、ある意味起こるべくして起こったと言える。
・ 当初の日本政府の対応、即ち日本の法律に基づき処理するは正しかった。しかし中国の反発は激しかった。中国にとっては、自国の領土で中国人船長が日本に逮捕されたことになる。丹羽大使を連日呼び出し抗議を行った。未明にも呼び出した。中国が領有権を主張する海域で、日本が中国人船長を逮捕という事件は、中国では対日批判となるし、こういう意見は(検閲されている)インターネットでも言えるし広がる。これに中国政府が機敏に対応しないと矛先が転じて政府批判になる。これが政府への圧力となり強硬姿勢を取らせた。
・ 9月15日に船員・船を返還した。日本政府は譲歩し、反発の沈静化を狙った。しかし、そんなことはあり得ない。先に折れたことにより一層中国政府が強硬措置を講じた。万博招待取り止め。閣僚級交流中止。レアアース禁輸処置等、更に圧力をかけてきた、またフジタの4人を拘束した。軍事管理地域で無断撮影との理由であるが、これは中国の報復処置である。軍事管理地域は、本来事前に決めてしかるべきであるが、中国では「今日からここが管理地域」と決めればそうなってしまう。
・ しかし、中国にも制約がある。米国は、尖閣諸島を日米安保の対象地域としている。中国は、米国国防省との交流を再開し、国防長官を招聘する。軍事行動を起こす事は無い。しかしこれ以上の強硬措置を執れば、中国への反発が起こる。周辺国が警戒する。
・ 拘留を延長した。その期限である29日まで頑張るべきだったが、圧力に屈して24日に釈放した。日本政府のこの対応が問題である。圧力に屈せず最後まで頑張るべきだった。折れるなら29日に折れるべきだった。あるいはフジタの4人の釈放と交換条件とすべきだった。それが日本国民の生命を守るべき政府の役割である。
・ 船長釈放以降、中国は一層強硬姿勢を打ち出している。譲歩すれば日本政府は更に足下を見られてしまう。謝罪と賠償を求めてきた。求める方が有利である。ガス田開発等も有利に進められる。圧力をかけ続けると、何かとれる。それが狙いかもしれない。いずれにせよ尖閣諸島の領有権問題は長期的対立になる。外交では重要な点で譲歩してはいけない。拘留途中で譲歩して釈放した。これが問題である。法治国家の原則を曲げてしまった。
中国でのビジネスでは、ビジネスと関係のないリスクがある。いざとなると、中国はルールを守らない。では、これから日本はどうすればよいかが問題となる。
① 日本自身がしっかりする。国防体制もきちんとする。力のバランスを考える。
② 日米同盟を強化する。これには、日本自身が米国の頼りになるようにしっかりする。
③ つかず離れず、ほどほどにして付き合う。深入りすればやけどする。
○ 上記が大体のまとめですね。中国政府に批判的な内容ですね。まあ、中国からインターネットは閲覧出来ますが、ブログは閲覧制限がかかっていますので、普通の中国の人には、このブログは読めませんね。
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