まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

VCのベンチャーへの種類株投資①

2011-10-08 21:47:17 | 株式関連

 2011106日の日経新聞には、【ベンチャー投資支援 経産省「種類株」促進、リスク減】と題して記事が掲載されています。それによると日本のベンチャー企業に対する年間の投融資額に占める種類株の比率は約10%。約80%は普通株による投資で、種類株投資が殆どとされる米国とは対照的だと記載されています。ということで、今回は英米でVCがベンチャー投資をする際の一般的な種類株や条件についてです。<o:p></o:p>

 

 日本では、VCがベンチャーに投資をする際、光るベンチャー・魅力的なベンチャーには1社でドカーンと投資をしますが、そんな良い投資は殆どありません。また、魅力的なベンチャー企業としては、事業に役立つ投資家・相乗効果の期待できる戦略的投資家を優先します(リチュームイオン電池のエリーパワー等は、大和ハウスやシャープが投資して、株式を売却する前提のVCはジャフコでも持株比率は5.85%ですね)。従い、VCの投資は大企業がまだ興味を示さないリスクの高い企業への投資が一般的なので、VCは数社が組んで投資をしますね。「赤信号みんなで渡れば怖くない」ですが、やはり赤信号なので失敗投資が多いですね。<o:p></o:p>

 

 まあ、それはともかく種類株で現実にどれだけリスクが軽減できるか別問題として、どんな種類株があるのか、またその投資の主な条件等を整理してみましょう。元ねたは、British Venture Capital AssociationのA Guide to Venture Capital Term Sheetsですので、ご興味のある方はそれをご覧下さい。<o:p></o:p>

 

1) Dividend rights (配当に対する権利。通常は優先配当株式)- 通常は配当優先権がありますね。また、累積的か非累積的かも決めます。普通株配当も加わるかどうかによって、participating(参加型) non-participating(非参加型)もありますね。例えば、a share class that has a preferential, cumulative dividend, usually fixed at a percentage of the purchase price paid for each preferred shareということですね。<o:p></o:p>

 

2) Liquidation preference and deemed liquidation* (残余財産分配優先株式)―残余財産優先でも、VC2xとか3x Liquidation preferenceを求めますね。でも、日本の場合は、残余財産優先株としても、倒産すれば殆どもらえない場合が多いのではないでしょうか。実際あまりリスク軽減にはなりませんね。

* Deemed liquidation=a term usually defined to include a merger, acquisition, change of control or consolidation of the company, or a sale of all or most of its assets, but sometimes also includes an initial public offering (IPO) or a qualified exit<o:p></o:p>

 

3) Redemption (償還株式)―会社法の制限を条件として、例えば株金払込後3年以降、払込株金+アルファ(配当決議したが未分配の配当金を加えた金額等)にて会社に償還を要求できる権利が付された株式ですね。日本の場合は、取得請求権付株式で、会社に金銭での買取が出来る株式ですね。日本では米国等と異なり剰余金の分配規制(財源規制)が厳しいですのでなかなか使えないです。また、分配可能剰余金があっても、特定株主からの自社株(自己株)取得は、総会特別決議事項ですし、他の株主もその株式取得請求に参加できるTag Along条項が会社法に規定されていますので、実際難しいですね。<o:p></o:p>

 

4) Conversion rights (転換権付株式)-日本の株式だと取得請求権付き株式で会社に取得してもらって多の種類の株式に転換ということになりますね。一般的には、転換株を取得してもらって普通株への転換が多いですが、他の種類株(日本の場合、普通株も種類株となりますが、それ以外の種類株)でも勿論可能ですね。<o:p></o:p>

 

5) Automatic conversion of share class/series(一斉転換条項付き株式)-例えば、IPO等の前に、種類株主の議決権の2/3以上の承認で一斉に他の株式(普通株等)に転換する条項つきの株式ですね。<o:p></o:p>

 

6) Anti-dilution (or price protection) 希薄化防止条項―転換株式を発行している場合に、その転換価格以下で追加のエクイティファイナンスする場合とか調整が必要となります。また既存株主以外に新株を発行すると持株比率も希薄化しますが、VCは一般的に持株比率は高くないので、投資契約で権利を確保しておれば、あまり影響を受けない場合もありますね。

  その他まだまだありますが、書くのに疲れましたので、この続きは②に記載します。<o:p></o:p>

 

 


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