まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

子会社の親会社株式の取得と処分

2011-01-16 13:56:12 | 商事法務

  子会社は親会社の株式取得が禁止されていますね。勿論、企業再編、例えば合併の消滅会社が、自社の親会社株式を保有したりしておれば、取得せざるを得なくなるので、そういった場合は例外的に保有を認めていますが、これも相当の時期にその有する親会社株式を処分しなければならないとしています(法135条。施行規則23条)。

  昔は、自己株式の取得は、原則禁止。止むを得ない場合はOKでしたね。それが、株式消却や従業員対策(ストックオプション)などの為にする取得もOKとなり、2001年の議員立法の商法改正で、自己株式取得の目的・数量の制約も無くしました。今の会社法は、これを引き継いでいます。制約としては、手続きと財源及び開示の規制ですね。特に重要な規制は財源規制ですね。では、自己株式取得がOKになったのに、子会社による親会社の株式取得は禁止されたままですね。どうしてなんでしょうね?

  子会社による親会社株式の取得禁止の条文は、1981年の商法改正でできました(旧商法211-21)。この規定は、自己株式取得の原則禁止の条項があるため、これを潜脱するため、子会社を使って親会社株式を取得した会社があり、これが訴訟で争われたので、この規定が出来たのですね。訴訟は、完全子会社を使って親会社株式を取得させた事例です。結論は勿論、駄目ということですね。即ち自己株式取得禁止が潜脱されるからというのが理由でした。(最判平5.9.9民集47-7-4814

  自己株式取得が、財源規制等があるにしても出来るようになった。それにも拘わらず、子会社による親会社株式取得は禁止されたままですね。認めても良いと思うのですが、まあ、もし認めると、財源規制などが連結ベースで考えないといけないし、親子関係の把握を、間接も含めて考えると複雑になりますからね。技術的にかなり難しくなるからというのが理由でしょうか。

  子会社保有の親会社株式は、「相当の時期に処分しなければならない。」としています。速やかにではないですね。「相当の時期」というのも会社により事情が異なりますので、2~3カ月ということもあるでしょうし、2~3年というのもありでしょう。「相当の時期」というのは、現実的には相当いい加減でしょう。勿論、企業再編の対価として交付するために取得した親会社株式は、合併の効力発生日に大半が身代わり株式として交付されますが、この場合でも余裕をもって親会社株式を取得しておくでしょうから、残余の親会社株式は残って、後ほどこれを処分しなければならないですね。相当の時期といのは処分の機会が到来したらぐらいの意味ではないかとおもいます。

  なぜ、「相当の時期」等といういい加減な規定を設けたのでしょうか?自己株式の場合には、消却・売却等の処分の期限・時期なんて定めていませんよね。別に、親会社株式を持っていても議決権を有する訳でも無いですね。では自益権はどうなんでしょうね。剰余金の分配等ですね。別法人なので配当はもらわないとね。別に子会社と言っても40%以上で子会社にしている場合もありますから、他にも株主がいますのでね。親といえどもお金は別扱いということにしておかないと困りますね。

  親会社が自己株を取得するには剰余金の財源規制が効きますね。これを潜脱するには、個人で資本関係なく会社を作って、これに買わせればいいですね。そして、その後子会社と合併する等の方法も考えられますね。親が合併するのは手間ですが、子会社等の合併は簡単にできる場合も多いですからね。この場合は財源規制も効きません。裏技ですね。



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