とにかく書いておかないと

すぐに忘れてしまうことを、書き残しておきます。

書評『生者と死者をつなぐ 鎮魂と再生のための哲学』(森岡正博著)

2018-05-09 18:01:54 | どう思いますか
 高校の国語総合の教科書の一番最初に、この本に収録された「ダイヤモンドと希望」という文章が掲載されていた。ギリシャ神話の「パンドラの箱」の話やカントのことばを紹介し、人間は「人間の尊厳」を破壊することはできないのだと語っている。いい話だ。人間の生きている意味を考える意味でも示唆を与えてくれる。他の文章も読んでみたくなり本を購入した。たくさんいい文章がある。読む価値がある本である。

 筆者は「誕生肯定」という考え方を示している。「誕生肯定」を説明している個所を引用する。

 「誕生肯定」とは、自分がこの世に生まれてきたことを、「生まれてきて本当によかった」と心の底から肯定することだ。生まれてきて本当によかったと思えるように、人生を生きてみてはどうかということだ。

 こう思えるようになれば、どんなにいいだろうと思う。しかしこう思うためにには多くの思索が必要である。能天気に「生まれてきてよかった」ということは可能かとは思う。しかしそれはすぐに覆る。「誕生肯定」とは自分と向き合い、自分を苦しめた人間だけが最後の希望として得られるもののような気がしてならない。

 どのような苦闘の末「誕生肯定」がうまれたのか、それを知りたくなった。
コメント (1)
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