シェイクスピアの晩年をケネスブラナーが描いた映画です。シェイクスピアほど成功した人物でも、晩年はさまざまな苦労を重ねます。人生、うまく行かない。そんな人生も「分相応」な人生だと受け入れるしかない。自分を受け入れることによって人間として穏やかに生きていくことができることを教えてくれます。感動しました。
監督 ケネス・ブラナー
出演 ケネス・ブラナー ジュディ・デンチアン他
一生懸命に生きていても、自分の思う通りにはなりません。そんなときに人は自暴自棄になり、自分を見失ってしまいます。しかし自分の思う通りの人生というのは思い上がりでしかありません。とくに成功した人間ほど思い上がって勘違いしてしまいます。自分の努力に報いる「幸せ」があるはずだと思ってしまうのです。
しかし、人間はだれもが努力をしています。自分だけ苦労しているわけではありません。みんなが自分の人生に応じた小さな「幸せ」とたくさんの「苦しみ」を得るのです。
晩年のシェイクスピアに友人の劇作家ベン・ジョンソンが「分相応」という言葉を与えます。「分相応」という言葉は、自分の「分」という意味ではありません。人間の「分」です。人間はみんな平等です。それを受け入れることも人間だからこそできるのです。人間だからこそ欲があります。しかし人間だからこそ、欲を昇華して人間らしく生きることを選ぶことができるのです。
あらゆる罪もあらゆる不幸も、それらは人間だからこそのものです。みんなが真剣に生きるために生まれたものなのです。それらを受け入れること。それが人間の「分相応」なのです。
いい映画を見ました。