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シネマ歌舞伎『東姫東文章』を見ました。片岡仁左衛門と坂東玉三郎は真面目で華のある役者です。その二人の演技のすごさを感じました。芸を極めていく生き方に感動します。同時に、この演目のシュールさに唖然としてしまいました。
出演
片岡仁左衛門、坂東玉三郎、
中村歌六、中村鴈治郎、片岡孝太郎、中村錦之助、上村吉弥、
中村福之助、片岡千之助、片岡松之助 、嵐橘三郎
ほか
この作品、コロナの影響で令和3年4月と6月の2回に分けて上演されました。シネマ歌舞伎でも2回に分けて上映されました。
この芝居、ストーリーが滅茶苦茶です。話がどう展開していくのか予想もつきません。おそらくこの作品は土台があって、そのパロディ、もしくはスピンオフという意味合いで作られた作品なのではないかと思います。
前回『鎌倉殿の13人』について触れました。『鎌倉殿の13人』は過去の大河ドラマを土台にしていて、それを前提に作られている。だから過去の作品を見ていない人や、歴史的な知識に乏しい人には難しいのです。この『桜姫東文章』も「清玄桜姫」という物語の土台があり、その土台をもとにして作られたもののようです。ところが現在は「清玄桜姫」は上演されていない。だから現代人にとっては話の展開が突飛すぎるのだと思われます。
とは言え、役者さんたちがみな力のある人たちなので、無茶なストーリーでも十分ついていけます。逆にそこで生まれる理不尽さこそが人間なのだと思ってしまうのです。仁左衛門が誠実な役とやくざな役を演じ分け、玉三郎も、姫といいながらやくざな男にひかれていく複雑な女性心理を描きます。見事にその役を演じ切ることによってリアリティを生み出しているように感じました。
シネマ歌舞伎なのですが、イヤホンガイドがありました。スマホのアプリを使っての解説です。今回はイヤホンガイドが助かりました。これがなければ展開についていけなかったかもしれません。
初めて見た演目でしたが、日本文化と日本の伝統芸を堪能しました。
映画館でチラシを見て、観たいなと思ったのですが、
なにせストーリーがレ○プが下敷きですから、
躊躇してしまって…。
こうして記事を見ると、観れば良かったかもと改めて思います…。