作 カルロ・ゴルドーニ
上演台本・演出 福田雄一
出演 ムロツヨシ 堤真一 吉田羊 賀来賢人 若月佑美 高橋克実
浅野和之 池谷のぶえ 野間口徹 粕谷吉洋 大津尋葵 春海四方
カルロ・ゴルドーニは18世紀に活躍したイタリアの脚本家である。この作品は1745年のゴルドーニの『二人の主人に仕えた召使』をもとにしている。ムロツヨシが堤真一と吉田羊の二人の二人に同時使える召使を演じている。堤真一と吉田羊はかつて恋人同士であり、今も愛し合っている。しかしある事情から離れ離れになってしまっている。その二人がヴェネチアに訪れ、ムロツヨシ演じる召使をそれぞれが雇ってしまうのだ。もちろん二人の主人に一人の召使が仕えるというのは無理だし、あってはいけないことだ。しかし2人から賃金をもらえるという単純な理由で、その召使は受け入れてしまう。ムロツヨシは二人に同時使えているということがバレたくない。だからそれぞれが二人が合わないように対応する。そのため会いたい二人はすれ違ったままである。この設定こそがこの話のおもしろさを生み出す本質である。結果、すれ違いのドタバタがおもしろおかしく描かれる。
古典的な作品なので、ストーリーは深みがあるわけではない。しかし役者がみんな達者なので楽しめる。会場は笑いの渦だ。即興的な場面もあるが、どこまでがアドリブなのかもわからない。セリフを間違えたり、洋服がドアノブに引っかかったり、食べていたものを吹き出してしまったり、あきらかに失敗したシーンもあるのだが、それが本当に失敗したのか、ウケを狙ったものなのかもわからない。自然に進行するのである。演劇の持つ即興性が会場を一体化している。演劇はやはりナマの緊張感が生み出す空間である。そのよさが出ている芝居だ。
ドタバタしながらハッピーエンド。質のいい喜劇だった。
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