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トム・プロジェクトの演劇「にんげん日記」を見ました。苦しい時こそ繋がりあう人間を賛歌する好作品です。
【作・演出】東憲司
【出 演】 小野武彦 高橋長英 村井國夫 大手忍 賀来千香子
【あらすじ】
昭和24年、戦後の窮乏したなか老朽化で休業中の銭湯が舞台。男はその銭湯で戦争に行った孫の復員を心待ちにしている。或る日、男の幼馴染が2人転がり込む。そして同じ日に孫の許嫁だという娘とその母親が現れる。実は母と娘は赤の他人であり、男をだまして金品を奪おうとする詐欺だった。血のつながりのない5人の共同生活が始まる。
本当に苦しい時に人間は生きるためになんでもするしかない。生きるために他人を裏切り、自分を裏切る。それは自分を苦しめるが、苦しむだけが人間ではない。未来に希望を見つけるしかないのだ。
「希望」という言葉がなければ生きていけない。自分の愚かさに気づかされ「希望」が再び消えてなくなる。その苦しさがわかるからこそ、許しあう。
人間は愚かであり、愚かであるからこそいとおしくなる。
愚かな自分を許したくなる芝居でした。