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映画『渇水』を見ました。水道料金を滞納する家庭を回って水道を止める業務に当たる水道局員の男性が、良心と職務の間で葛藤する映画です。身につまされるものがありました。
私も長年教員をやっていました。最初のころは怖いもの知らずで、教員なんかみんな敵だという気持ちでやっていたのですが、いつの間にか取り込まれてしまい、本来の自分を失ってしまったような気がします。公務員はこうあらねばいけないとか、教師はこうあらねばいけないという変なしばりにがんじがらめになってしまいました。その結果いつの間にか自分を偽ってしまっていたのだと思います。最後はストレスだらけの生活になっていました。
この映画の主人公も組織に取り込まれ、本来の自分を見失っていたのだと思います。その結果当たり前の感覚を失ってしまいました。絶望の淵にたった時、やっと明日の生活もままならない子供たちから水を奪っていたことに気づくことができます。
もちろんここにこの映画の弱さもあります。今の世の中、きちんとした児童保護の制度もあり、こどものために働いてくれる人もたくさんいるのです。そういう人につなぐことぐらいやるべきことであるのは同然なのです。
とは言え、エアポケットのような罠に人間ははまってしまいます。それが恐ろしい。
社会の落とし穴を描く映画でしたが、最後は救われた気分になりました。
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