とにかく書いておかないと

すぐに忘れてしまうことを、書き残しておきます。

「天の川」

2017-02-17 07:48:45 | お題
 私は山形県の酒田市で生まれ育ちました。大学進学で東京に出たために、帰省のたびに鉄道を使用します。多くの場合特急「いなほ」を利用しました。新潟経由の特急で片道6時間半かかります。苦痛でしょうがありませんでした。

 当時は東京と酒田を結ぶ「天の川」という寝台列車もありました。数回利用しました。寝台列車は寝ながら目的地に着くので時間を有効に使えるようにも思えますが、神経質だったからか、ほとんど寝られません。しかも寝台料金はかなり高額だったのであまり利用しなかった記憶があります。

 上野から酒田まで行きときは、明け方に日本海を北上することになります。まどからその風景を眺めていた記憶がいまだに残っています。

 当時、酒田始発で、新庄、山形を通る奥羽本線経由の夜行急行「出羽」という列車がありました。夜8時ごろ酒田を出て、上野に朝5時くらいにつきます。この列車は寝台ではないので普通の座席です。昔風の背もたれが直角の座席でした。ただし、たいていこの列車はすいていたので、二人掛けのひとつの座席に上半身を横になることができました。かなりきつかったのですが、特急料金も寝台料金もかからず、急行料金だけだったのでかなり安く東京まで行くことができました。学生のころは一番使わせてもらいました。

 しかし、盆や正月のころは大変です。安いのでたくさん乗客がいます。満席を超えた乗客がいるので、通路にまでみんなが新聞紙を引いて寝始めます。高度成長期はとうにすぎていたのにこんな光景があったのです。

 この急行「出羽」の最後の運転の日、私は酒田から乗りました。いつもよりは混んでいました。運転中、常連だった乗客と、車掌さんが思い出を語り合っていました。それは今でもわすれることのできない情景です。



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