<続き>
和歌山の古代関連施設を巡って見たかったモノの5点目は、車駕之古址古墳出土の囲形埴輪である。
囲いの周囲の上部は、三角形の鋸歯文である。これは悪霊除け、つまり邪視点文である。囲いの中に悪霊が侵入するのを監視・防止すると古代の人々は信じていた。
この囲形埴輪の内側には覆屋が存在していたと思われ、それは殯屋(もがりや)・殯所(ひんしょ)であったであろう。その覆屋の内部には湧水施設か導水施設ないしは井戸が併設されていたものと思われる。
これらの囲形埴輪は、当該紀伊と畿内さらには伊勢の古墳から出土しているが、関東の古墳はどうであったか知らない。少なくとも畿内及び周辺では、古墳時代に殯の習慣が存在していたことになり、それは弥生時代からの習慣であったと思われる。
尚、埴輪からみる古代の喪葬・前編(ココ)を参考に願いたい。今回にて、『和歌山で見たかったモノ』シリーズを終了する。
<了>
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