インターキン窯発掘調査報告
1.序
インターキン窯址は1994年、SaraswadeeOngsakul氏と他1名によって発見された。1996年11月タイ芸術局のSayan Praicharnjit氏により、調査発掘が行われた。サーヤン氏は、タイ芸術局やランナー陶磁研究プロジェクトの考古学現場調査や水中考古学プロジェクトを、タマサート大学のSumit Pitipat教授とともに主催している。
インターキン窯址は、チェンマイ県メーテン郡のインターキン地区の約2平方キロの3箇所で発見された。
AreaⅠ:北緯19°11′279″ 東経98°58′503″のインターキン地区Ban San Patong村のDuang-Dee Chaithanong氏の敷地内。
AreaⅡ:Noen Khamuと呼ぶ丘陵部の斜面で、小さなChang Tai川の間に在る。そこは現在第33辺境警察から、1-1.5km北西のナレースワン警察キャンプ内に在る。
AreaⅢ:チャンタイ川の土手斜面で、AreaⅡの反対側に位置する。そこはWat Meud Kaの隣接地で個人所有地である。AreaⅡとⅢはBan Meud Kaの村人のSao Kham Suchart氏によって紹介され、サーヤン氏のチームが1996年12月、最初の調査を行った。
2.窯址の諸元
タイ芸術局第6支所(現第8支所)チーフ考古学者のサーヤン氏は、AreaⅠの2箇所で3×5mと4×5mの発掘を行った。発掘により4つの粘土構築の窯が明らかとなった。その4つについてITK1、ITK2、ITK3そしてITK5と命名した。ITK4は発掘した場所外で、未だ発掘されていない。
2箇所のピットで発掘された窯は、比較的完全な形を留めていた。しかし焼成室部分の天井は、各窯の床に崩壊していた。
上から見た形状は、瓶の口縁を下にして倒したような形に似ている。サーヤン氏は、このような形をJar-Kilnと名付けた。窯の主要寸法は以下の通りである。
Kiln ITK1 :


全長 3.75m
全幅 2.20m
焼成室長さ 2.60m
焼成室内幅 1.65m
焼成室高さ 0.65m
焚口幅 0.80m
焚口高さ 0.50m
煙突径 0.75m
煙突高さ 1.40m
窯壁厚み 98-100mm
窯傾斜度 6.5-7.0度
Kiln ITK2 :
ITK3構築のスペース確保のため、ITK2の多くが破壊されていた。窯の基礎部分や窯壁、燃焼室や天井部分は失われている。幾つかのデータとして・・・
煙突径 0.70m×0.78m
煙突厚み 90mm
ITK2の発掘により煙突と窯体、窯の崩れた堆積物、灰と炭化物、廃棄された白色系統の胎土に、緑系統の褐色釉や青磁釉の陶片が出土した。
Kiln ITK3 :

(左がITK2、右がITK3)
この窯はITK2の北側で、K2発掘抗より焚口、燃焼室、全体の2/3程の焼成室が発掘された。その寸法は・・・
全長 3.85m
全幅 2.05m
焼成室長さ 1.75m
焼成室内幅 1.65m
焼成室高さ 0.65m
焚口高さ 0.50m
煙突高さ 1.40m
煙突径 0.75m
窯体厚さ 98-100mm
窯傾斜度 6.5-7.0度
Kiln ITK5 :この窯の煙突はITK3の煙突の東側4mに位置している。小さな燃焼室と焚口がK2発掘抗より現れた。全体的な寸法は不明であるが、全長は4mほどと思われる。
Kiln ITK4 :この窯の煙突位置は、ITK5の煙突から8m程南東の未発掘位置に在る。煙突上部が表層から現れている。
次回は焼成陶磁を紹介する。
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