<続き>
<ランカイ(Lang Cay)窯> 15-16世紀 陳朝-黎朝前期-莫朝-黎朝後期
ロンスェン社(Xa Long Xuyen)のランカイ陶磁を紹介する。写真のように胴長の広口で焼締めの壺も出土している。写真では詳細に比較できないと思われるが、菊唐草文の碗を注視願いたい。それは先般紹介したチューダウ、ミーシャの碗とモチーフは同じである。高い高台の下部に巡る二重線も全く同じであるが、菊花文のタッチや碗下部の連弁文様の感じは三様である。
しかしながら、この手の陶磁が複数の窯場で焼成されていた意義は大きく、中国の海禁政策のせいで、安南陶磁が大量生産され、輸出されていた様子がよく理解できる。
<ランゴイ(Lang Ngoi)窯> 15-16世紀 陳朝-黎朝前期-莫朝-黎朝後期
輸出用陶磁を焼造したと云われるチューダウ窯やミィーサー窯等々の発掘品の展示で、精緻な絵付けをした青花陶磁を見ないのはなぜであろうか?特にチューダウ窯は6次に渡り発掘された。精作の輸出用陶磁を焼成した窯場は未発掘の状態で他に存在するのであろうか?不思議と云えば不思議である。その中で上掲の青花牡丹文盤陶片の絵付けは、精緻とは云えないものの比較的丁寧に絵付けされている。今回見学した発掘品では上手の方であるが、精作輸出陶磁とは比べようもない。
<タンコイ(Thanh Khoi)窯> 14-17世紀 陳朝-胡朝-黎朝
タンコイ窯の全貌については不案内であるが、展示されている発掘品には、以下の写真のほかにオリーブグリーンに発色した青磁碗、染付の碗と盤があった。そのうち下の3点は、ミャンマー・トワンテや北タイでもワンヌア窯と似ているように思われる。しかし、単なる感覚で類似性を示す脈絡は見当たらない。
北タイ陶磁で過去、上の皿のような蛇の目の釉剥ぎは見かけなかったが、最近パヤオに存在することが分かった。その釉剥ぎとは別に、釉薬の色調と内壁の鎬は何となく、北タイ陶磁に似ているように思える。染付碗と盤も合わせて紹介しておく。
<続く>
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