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ミャンマー・獣頭人身戦士双像塼の真贋

2020-05-02 07:39:30 | ミャンマー陶磁

大阪の近つ飛鳥博物館の展示品をシリーズで紹介しているが、閑話休題である。

過日、首記塼がネット・オークションに出品されていた。最終的な落札価格は知らないが、締め切り当日昼頃の入札価格は51,000円であった。

誤解のなきよう、以下お断りしておく。当該ブロガーは北タイ陶磁については、それなりの知識・経験を有しており、特にサンカンペーン陶磁については、それなりのものと自負しているが、ことミャンマー陶磁については素人である。従って後述の事柄について、自信を持って述べるほどの何がしも持ち合わせていない。

先ず、出品されていた塼を紹介しておく。

一見、?と思うところは見受けない。しかし仔細にみると、貫入に土銹が見当たらない。頭部の写真を御覧頂きたい。

背景の白釉(錫鉛釉)の貫入に土銹を見ることができない。500-600年も地下に埋もれておれば、その土銹は容易に洗い流すことは難しい。その土銹が見えない。

同一モチーフの緑釉塼は何種類かありそうだ。今回出品の塼は左の塼である。一般的な塼では戦士が武器を持つのは右手である。左端の戦士も右手で持っているので違和感はない。しかし多くの場合その右腕は、90度以上折り曲げ、手は上腹部に在るのが一般的である。左端の塼は右腕をほぼ完全に折り曲げ、手は右肩に接している。このような右腕の戦士塼は過去に見た覚えがない。

これらの緑釉塼は、ペグー(バゴー)の南5kmのパヤトーズ遺跡から出土した。モン(MON)族国家であるハムサワディー・ペグー朝のダムッマセティ王(在位1459-1492年)の時代の塼である。そこは赤土地帯で、塼表面の赤ザビ色の土銹を洗い流すことは困難である。

倣作(贋作)とは断言できないが、本歌(本物)とも云えない。訳の分からないものに、当該ブロガーなら5万円もださない。

<了>

 


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