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「陶磁器・パヤオ」シリーズ・38(最終回)

2016-03-08 07:08:16 | 北タイ陶磁
<続き>

<パヤオと中国・安南陶磁>
●陶磁と技法の伝播ルート(2)
ゲアン(乂安)省ビン市(榮市)からカー川沿いに、チュアンソン山脈を左にみて国道7号を遡り、ラオスのポンサワンを経由して、ランサーンの都ルアンプラバーンに至るルートがメイン・ルートであったであろう。上写真の白抜きルートである。このカー川はラオスのシェンクワーン県を源に国境を越へ、ゲアン省を流れバクボ(北部)湾に注いでいる。
中世1479-1480年、黎聖宗はランサーン王国へ侵攻する際、ゲアン山地からラオスに兵を入れ、シェンクワーンのタイ族を服属させ、そこに鎮寧府七県を置いた。つまり侵攻のメインルートであった。
カー川沿いに遡り、途中その支流に沿って遡るとナムカンの国境検問所に至る。ラオスの国境検問所はシェンクワーン検問所である。この検問所からポンサワンまで130km、ルアンプラバーンまで330kmとある。グーグル・アースはその国境を紹介している。

上はベトナムのナムカン検問所。前を流れる川は東流し、カー川に合流する。下はラオスのシェンクワーン検問所。
ポンサワンを経過するとランサーン王国の都・ルアンプラバーンまで200kmである。そのルアンプラバーンには、横焔式単室窯が存在すると、leave onesfootprintsなるブログ(www.yaguhiro.nut/leave/04rao1229.html)が紹介している。
ルアンプラバーンから北タイへは、メコンの水運である。チェンマイ民族博物館は、ランナー王国時代の交易図を展示している。
ルアンプラバーンからチェンコーンへは船で遡上し、そこからパヤオやチェンマイへ南下したのである。
雲南から北タイへの繋がりが見えない中、安南からはランサーン王国経由でランナー世界へ繋がっているように思われる。中国・安南陶磁と北タイ諸窯との関係を検討してきた。北タイ諸窯は独自性が目立つと、従来から思ってきたが、周辺諸国の影響も大きいことが分かってきた。
余談ながら、ランサーン王国時代の北ラオス陶磁は不明な点が多いが、いずれ若き研究者により、明らかになっていくものと思われる。

「陶磁器・パヤオ」と題して、シリーズ展開したが当該38回目をもって終了とする。北タイ陶磁愛好家に多少なりとも情報提供できたとすれば、幸甚の至りである。

 

                              <了>


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