2月27日 キャッチ!
北を中国
東をベトナム
南と西をタイなどに囲まれ
海に面していないことから“陸の孤島”とも言われるラオス。
東南アジア諸国連合の加盟国の中でも
政治・経済の両面で中国と密接な関係を持っている国として知られている。
周辺国と比べて経済面で立ち遅れていたラオスだが
近年 中国が推し進める巨大経済圏構想「一帯一路」によって
変化の兆しが見えてきている。
ラオス北部の古都ルアンプラハン。
古くから残る街並みが世界遺産に認定されたアジア有数の観光地である。
ここから来るまで15分ほど離れた山間部で
一帯一路のプロジェクトは着々と進められていた。
トンネルの建設でラオスと中国を結ぶ鉄道が通ることになる。
建設を担当しているのは中国国有の鉄道大手「中国中鉄」である。
(中国人のエンジニア)
「この規模の工事であれば
中国でもやってきた経験があります。」
鉄道のラオス部分の長さは400キロ余。
ほとんどが山間部のため約6割がトンネルと橋という難工事である。
近くではメコン川に掛けられる橋も建設されていた。
中国とラオスを結ぶ鉄道は建設が始まって1年余だが
すでに進捗は20%を超えており
3年後の完成を目指している。
中国が進める「一帯一路」構想では
南西部の都市 昆明を拠点に
ベトナム、ラオス、ミャンマーの三方向へ鉄道の建設が予定されている。
ラオスを通るルートはタイなどを通ってシンガポールへ延びる前腸3,000kmの計画である。
このうちラオス国内を通る区間の建設費は総額60億ドル。
ラオスの国家予算の約倍にあたるが
7割は中国側からの投資である。
首都ビエンチャンでも鉄道の完成を見越して中国からの投資が進んでいる。
ショッピングモールや高層住宅が中国の企業によって建設されている。
2月2日 ビエンチャンで開かれた「一帯一路」フォーラム。
中国の政府系投資銀行などが主催し
ラオスへのさらなる投資を呼びかけた。
中国から100社以上が参加。
チャンスに乗り遅れまいと投資環境などに聞き入る姿が見られた。
(参加者)
「今はラオス発展のための重要な時期で
中国にとっては投資のチャンスです。」
「ラオスは30年前の中国に似ているので
私たちの経験を生かすことができます。」
中国の勢いが増す一方で
ラオスの人たちからは思いのほか冷めた声が聞かれる。
(市民)
「私たちにはよくわかりませんが物流や移動は便利になるでしょう。」
「鉄道建設のことはよく知りません。
関係している人は少ないです。」
地元の人たちの関心が低い理由の1つに中国の“投資スタイル”がある。
現場で働いているのもほとんどが中国人。
ラオスの人には簡単な仕事しか与えられていない。
現場のすぐ隣には中国人労働者の宿舎も並んでいる。
大規模な投資もほとんどが中国へ環流し
鉄道が完成するまでラオスの人たちは恩恵を受けられなくなっているのである。
ラオスの担当大臣は
鉄道の建設が国民の雇用につながっていないことを認めながらも
鉄道建設の恩恵の大きさを強調した。
(ラオス 交通省 ラッタナマ二副大臣)
「中国・ラオス間の鉄道が完成すれば
“陸の孤島”の物流が劇的に改善します。
雇用改善の必要性は認めますが鉄道建設が終わったあとの問題です。」