ある音楽人的日乗

「音楽はまさに人生そのもの」。ジャズ・バー店主、認定心理カウンセラー、ベーシスト皆木秀樹のあれこれ

パール (Pearl)

2006年01月24日 | 名盤

  
 1月19日はジャニス・ジョプリンの誕生日だったんですね。
 今夜はなんとなくジャニスの歌が聴きたくなって、CD棚から「パール」を取り出して聴いています。
 ちなみに、宇多田ヒカル、松任谷由実、ロバート・プラントらのそうそうたるシンガーたちも、ジャニスと同じ誕生日だそうですね。


 「パール」は1970年8月末から制作に取り掛かりましたが、レコーディング途中の10月に、ジャニスはヘロインの過剰摂取のため、わずか27歳で急逝してしまいます。アルバム中、ヴォーカル・トラックの入っていない曲が1曲あるのはこのためです。
 その曲のタイトルは、「生きながらブルースに葬られ」(Buried Alive In The Blues)。ちょっとビックリしますね。
 しかし、このアルバムはジャニスの最高傑作、というより、ロック史上に残る名作といえるでしょう。


     
     
 
 このアルバムは、ジャニス自身のニックネーム「パール」をそのままタイトルにしています。
 ジャケットで微笑んでいるジャニス、人生を謳歌しながらもどこか悟ったような、とてもいい表情をしています。その写真は紫色で縁取られていますが、紫はジャニスが好きだった色だそうです。


 収められているものは、名曲・名唱のオン・パレード。
 ジャニス自身の作で、ハード・ロックの古典ともなっている『ムーヴ・オーヴァー(ジャニスの祈り)』、ハードでブルージーな『クライ・ベイビー』、ファンキーなギターが大活躍する『ハーフ・ムーン』、恋人と言われたクリス・クリストファーソン(近年は俳優として活躍していますね)が書いたカントリー・バラードの名作『ミー・アンド・ボビー・マギー』、アカペラで迫る『メルセデス・ベンツ』、トラディショナル・フォークの味わいもあるR&B風ナンバー『トラスト・ミー』、ジャニスの息遣いと温もりが感じられるソウルフルな『愛は生きているうちに』など、どの曲もとてもグレードの高いものばかりです。
 なかでもぼくが好きなのは『寂しく待つ私』。ピアノとオルガンから漂ってくる寂寥感と、ジャニスの熱気と感情のこもった抜群の歌唱力がたまらないのです。


          
 
 
 このアルバムのジャニスは、さらに表現力に磨きがかかっています。まさに、シンガーとして脂の乗り切った頃だったのでしょう。
 ジャニスのあのしゃがれた歌声には、ジャニスの音楽性だけではなく、彼女の持つ埋めがたい寂しさだとかコンプレックス、そして彼女自身の生き様が詰まっているような気がします。
 きっと彼女は、ブルースを歌うために生まれてきたのでしょうね。


     



◆パール/Pearl
  ■歌・演奏
    ジャニス・ジョプリン/Janis Joplin
    フル・ティルト・ブギー・バンド/Full Tilt Boogie Band
  ■リリース
    1971年1月11日
  ■プロデュース
    ポール・ロスチャイルド/Paul A. Rothchild
  ■収録曲
   [side-A]
    ① ジャニスの祈り/Move Over
    ② クライ・ベイビー/Cry Baby  ☆(全米42位)
    ③ 寂しく待つ私/A Woman Left Lonely
    ④ ハーフ・ムーン/Half Moon
    ⑤ 生きながらブルースに葬られ/Buried Alive in the Blues
   [side-B]
    ⑥ マイ・ベイビー/My Baby
    ⑦ ミー・アンド・ボビー・マギー/Me & Bobby McGee  ☆(全米1位)
    ⑧ ベンツが欲しい/Mercedes Benz
    ⑨ トラスト・ミー/Trust Me
    ⑩ 愛は生きているうちに/Get it While You Can  ☆(全米78位)
    ☆=シングル・カット
  ■録音メンバー
    ジャニス・ジョプリン/Janis Joplin (lead-vocals, backing-vocals, acoustic-guitar⑦)
    [Full Tilt Boogie Band/フル・ティルト・ブギー・バンド]
     リチャード・ベル/Richard Bell (piano, backing-vocals)
     ケン・ピアソン/Ken Pearson (organ, backing-vocals)
     ジョン・ティル/John Till (guitar, backing-vocals)
     ブラッド・キャンベル/Brad Campbell (bass, backing-vocals)
     クラーク・ピアソン/Clark Pierson (drums, backing-vocals)
    [guests]
     ボビー・ウーマック/Bobby Womack (acoustic-guitar ⑨)
     ボビー・ホール/Bobbie Hall (congas, percussion)
     フィル・バデラ/Phil Badella (backing-vocals)
     ジョン・クック/John Cooke (backing-vocals)
     ヴィンス・ミッチェル/Vince Mitchell (backing-vocals)
     サンドラ・クロウチ/Sandra Crouch (tambourine)
  ■チャート最高位
    1971年週間チャート  アメリカ(ビルボード)1位、イギリス20位、日本(オリコン)10位
    1971年年間チャート  アメリカ(ビルボード)4位



コメント (4)
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