ある音楽人的日乗

「音楽はまさに人生そのもの」。ジャズ・バー店主、認定心理カウンセラー、ベーシスト皆木秀樹のあれこれ

椎名豊トリオ ライヴ

2006年01月25日 | ライブ


 ライヴハウスでジャズを聴くのは、ぼくの楽しみのひとつです。ミュージシャンの息遣いとか熱気がダイレクトに感じられるので、ホールよりもライヴハウスで聴く方が好きなのです。とはいえ、スケジュールが合わなくて、行きたくても断念せざるを得ないことが多いんですけれど。
 今夜は「椎名豊トリオ」のライヴが倉敷市でありました。
 現在のジャズ・シーンを牽引するピアニストのひとりである椎名豊氏のピアノは前から一度聴いてみたかったので、このライヴは必ず行くつもりにしていました。
 場所は、倉敷の老舗ジャズ・クラブ「アヴェニュウ」です。


     


 コーヒーを飲みながら(ぼくはお酒はほとんど飲まないんです)しばし開演を待ちます。この開演前の期待感も「ライヴのうち」なんですよね。
 お客さんも三々五々とお店に入ってきます。外はやはり冷えるようで、みんな背中を丸めて入ってきます。でも、寒い冬だからこそ、アツいジャズで温まりたいんです。(夏は夏で、ジャズが合うのです


 ライヴの2時間は、アッという間でした。
 『サマー・ミスト』、『魅惑のリズム』、『ミスター・T』、『ジョイ・オブ・スプリング』、『トゥ・ビー・エス』など、オリジナル曲、ジャズ・オリジナル、スタンダードを交え、アンコールを含めて演奏は全11曲。存分にピアノ・トリオによるジャズを堪能できました。


 椎名氏の弾くピアノは、音で情景を描写しているかのような、美しくて存在感のある音色でした。おそらくタッチが柔らかいのでしょう、ハードな曲を弾いてもピアノの音色が耳に心地良い。
 繊細な音から豪快な音まで、いろんなピアノの表情を見ることができたのも楽しかったな~。スケールの大きさを感じました。
 即興性というか、現場での「音の化学反応」も見逃せないところです。
 期待通りの濃密な音にじっくり浸ることができて、とても満足です。


     
     椎名 豊(pf)
 

 椎名氏の紡ぎ出す曲をいろんな色で色づけしているのが大坂氏のドラムです。ごくごくシンプルなセットなのですが、そこから叩き出す音色の種類のなんと多いこと。そして、自在にリズムで遊び、苦もなくリズムを操る様子は、まるでドラム・セットと戯れているかのようです。見事なまでにドラム・セットを歌わせている大坂氏のドラミングを聴いていると、ドラムが別の楽器のように感じられるほどでした。
 この二人の熱いプレイを、「堅実」という言葉がぴったりくるような上村氏のベースが温かく支えます。非常に穏やかで、安定感抜群のベースでした。こういうプレイだからこそ、椎名氏も大坂氏も安心して音と「遊べる」んでしょうね、きっと。


     
     大坂昌彦(drs)&上村 信(b)


 ライヴを楽しむことができた後は、なんとなく夢見心地です。「つわものどもが~」ではないけれど、さっきまで熱い演奏の中に自分の身を置いていたのが夢みたい。
 でも、熱い演奏を楽しむことができたからこそ、「またライヴ・ハウスに行ってみよう」という気持ちが沸き起こってくるんですね。
 さて、次はだれのライヴに行ってみようかな~


◆椎名豊トリオ Live at 倉敷アベニュウ
 2006年1月24日
 椎名 豊(piano)
 上村 信(bass)
 大坂昌彦(drums)

コメント (2)
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