自己主張の強さや、平和運動などとの関わりから、ジョン・レノンに対して「強硬派」とか「政治的」というイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。実際、生前は公安当局にもマークされていたそうですね。あの「9・11」のあとには、政治的な理由から「イマジン」が米国の一部で放送禁止となりました。(なんてナンセンス!)
ビートルズ解散前後のジョンの言動は、確かに過激さを増し、表現も赤裸々なものになっていました。ビートルズとのきっぱりとした決別もその理由のひとつでしょう。しかし、1971年に発表した「イマジン」では、苦悩の果ての悟りのような、穏やかな境地が感じられます。
政治、宗教、主義信条と音楽とを、第三者が安易に解釈して結びつけることに、ぼくは一種の危惧を覚えているのですが、確固とした信念に基づいた音楽の持つ力は確かに底知れないものがある、とも思っています。
「イマジン」という曲、メロディーも歌詞も愛に満ちています。だからこそ、これだけ多くの人に愛され、歌い継がれているんでしょうね。
ややもすればひとりよがりで過激になりがちだったジョンの主張ですが、この曲では別の角度から平和を見つめ、優しく訴えかけようとしている気がします。
シンプルなメロディーも、非常に印象深いです。
ジョンの思想信条について(ぼくは『肯定派』ですね)は別の機会に書くとして、ぼくがジョンから学ぶところ、それはどんな誤解や偏見にもひるまなかったこと、自分を信じて理想とするところを追求し続けたところです。
ビートルズの中で最も「ロックンロール・スピリッツ」を持っているのがジョンだと思います。それが反骨精神に結びついているのかもしれません。
ぼくがビートルズの中で一番好きなのが、ジョンなんです。
今日12月8日はジョンが亡くなった日。
彼の代表作「イマジン」は、永遠に歌い継がれてゆく歌のひとつだと思います。
ジョン・レノンのアルバム『イマジン』(1971年)
[歌 詞]
[大 意]
想像してごらん、天国なんてないんだ、と
その気になれば簡単なことさ
ぼくらの足元に地獄はなく、頭上にはただ空があるだけ
想像してごらん 全ての人が今日のために生きている、と
想像してごらん、国境なんてないんだ、と
そんなに難しいことじゃない
殺したり死んだりする理由もなく 宗教さえもない
想像してごらん 全ての人が平和に暮らしている、と
想像してごらん 所有するものなんて何もない、と
果たして君にできるかな
欲をはることや飢える必要もなく 人はみな兄弟なのさ
想像してごらん 全ての人が世界を分かち合っている、と
ぼくを空想家だと思うかもしれない
だけど ぼくだけじゃないはずさ
いつの日か 君もぼくらに加われば
この世界はひとつに結ばれるんだ
◆イマジン (Imagine)
■歌と演奏
ジョン・レノン/John Lennon (vocal, piano)
■シングル・リリース
アメリカ1971年10月11日、イギリス1975年10月24日、日本1971年11月10日)
■収録アルバム
イマジン/Imagine (1971年)
■作詞・作曲
ジョン・レノン/John Lennon
■プロデュース
フィル・スペクター/Phil Spector、ジョン・レノン/John Lennon、オノ・ヨーコ/Yoko Ono
■録音メンバー
ジョン・レノン/John Lennon(vocal, piano)
クラウス・ヴーアマン/Klaus Voormann(bass)
アラン・ホワイト/Alan White(drums)
■チャート最高位
1971年週間チャート アメリカ(ビルボード)1位、日本(オリコン)14位
1975年週間チャート イギリス6位
1981年週間チャート イギリス1位
1972年年間チャート 日本98位