ある音楽人的日乗

「音楽はまさに人生そのもの」。ジャズ・バー店主、認定心理カウンセラー、ベーシスト皆木秀樹のあれこれ

コンドルは飛んで行く (El Condor Pasa)/ロス・インカス

2008年12月20日 | 名曲


 今日も昔話をひとつ(^^)


 男子中学生の頃のぼくらにとって、音楽の時間とは、
 「いかに不真面目に過ごすか」、がテーマ
 だったような気がします…(‐ω‐;)ゞ
 真面目に音楽するのはカッコわるいことだと思ってたから、フザケるのも照れ隠しだったんでしょうね。


 テストの時なんか実技と称してみんなの前で歌を歌わされましたが、これが充分騒ぎのタネになるのです。
 上手に歌うか、みんなをノセられるかすれば良いんだけど、そうでなかった時に浴びるブーイングの嵐ときたら!


 それに、音楽の授業って、わりに若い女の先生だったりしますしね。色気づき始めた男子中学生が、若くて(かわいい)女の先生の授業をおとなしく受けるワケがないのです。もう1分とは黙っていられない。
 まるでバカ丸出しでした…


 とにかくくだらん質問を浴びせる。やれ彼氏はいるかだの、どこまでいっただの、AだのBだのCだのZだの、うるさいったらありゃしない。
 で、注意されれば、(ほんとは構って貰って嬉しいクセに)ふてくされてみたり、もう先生からしたら首のひとつでも締めてやろうか、と何度も思ったことでしょう…(-.-;)


 その「おふざけツール」のひとつに、縦笛がありました。はい、だれしも義務教育時代にさんざん使いましたですね、きっと。
 とにかく、本来の用途になんか使わない。チャンバラの刀がわり。野球のバットがわり。たまに音を出してるなと思うと、朝早く来て好きなコの笛をコッソリ吹いてる野郎がいたり。あとは、どれだけヘンテコなチャルメラが吹けるかというアホな競争で盛り上がったり。ほとんど野生の猿の群れでした。


 しかし、ある日を境に、この馬鹿中学生ども、かなり本気で笛を吹くようになりました。
 それは音楽の授業で「コンドルは飛んで行く」を聴かせてもらったからなのです。


 「コンドル~」は、サイモン&ガーファンクルがヒットさせた曲として有名ですが、授業で聴いたのは「ロス・インカス」というペルーの民族音楽グループがケーナで演奏したものでした。
 サイモン&ガーファンクル盤と違って、セカンド・テーマが付いています。セカンド・テーマではテンポが速くなり、打楽器も加わります。軽快ながら、憂いを秘めたメロディがきれいでした。 
 アンデスの上空をコンドルが舞っている情景が目に見えるようでした。



ケーナ


 この曲は、ペルーのフォルクローレをもとに、民俗音楽家のダニエル・アロミア=ロブレスが1913年に発表したものです。50年以上のちに、ポール・サイモンが歌詞を付けたわけですね。サイモンは、パリで聴いたロス・インカスの演奏がたいへん気に入り、そのままバックに使ったそうです。
 ケーナという民族楽器は、俳優の田中健さんが演奏するようになって以来、すっかりおなじみになりましたよね。


 この曲を聴かせてくれたコウヅキ先生は、女優の山口智子さんに似た、ちょっと男勝りなところもある美人の先生でした。ぼくらにはさんざん手を焼いていたみたいですが、それまでとはうってかわって真面目に縦笛に取り組むぼくらを見て、すっかり見直してくれました。のちにはお宅に遊びにお邪魔するようになったほど、とても仲良くなりました。


 でも「コンドル」が終わると、先生はぼくたちが並はずれたおバカだったということをイヤというほど思い出さざるを得なかったみたいです。
 コウヅキ先生、ごめんなさい



     せんせ、「コンドル」いいっすねいい子ね…






コンドルは飛んで行く/El Cóndor Pasa
■発表
  1913年
■作曲
  ダニエル・アロミア=ロブレス/Daniel Alomía Robles
■歌・演奏
  ロス・インカス/Los Incas
  サイモン&ガーファンクル/Simon & Garfunkel (1970年発表)
  ほか多数



ロス・インカス『コンドルは飛んで行く』



コメント (8)
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