ある音楽人的日乗

「音楽はまさに人生そのもの」。ジャズ・バー店主、認定心理カウンセラー、ベーシスト皆木秀樹のあれこれ

チューリップ・デート

2008年12月15日 | 随想録

 
 毎年この時期になると思い出すことがあります。
 それは高校2年の時に、当時大好きだった人と行った、チューリップのコンサートです。


 LPレコードを買うための2500円を捻出するのに四苦八苦していたぼくは、当時はライブやコンサートにはあまり行っていませんでした。
 チケット代は、ほぼレコード代と同じ金額だったので、「ライブはその日一回しか聴くことができないけれど、レコードなら何度も繰り返して聴ける」という、まったく貧乏性な理由があったからです。
 でも当時大好きだった「まりさん」から、その年の冬に「MINAGI君、チューリップがこの街に来るんだけど、コンサート一緒に行かない?」と誘われると、一も二もなくOKの返事を出したもんです。


 まりさんは、ぼくより2歳年上です。彼女は吹奏楽部でフルートを吹いていた先輩で、ぼくが1年の時に3年生だった人です。
 3年生は1学期までしか部活に出てこないのですが、妙にぼくとまりさんとは顔を合わせる機会が多く、いろんな話をしているうちにぼくの方がどんどん懐いていった感じでした。
 まりさんは地元の女子大に進みましたが、その頃からは毎晩のように電話で話したり、映画に行ったり、お茶を飲みに行ったり、としょっちゅう会ったり話したりしていて、まりさんなしの毎日は考えられない、マセたぼくでした(^^;)。


 チューリップはたまたまクラスメイトのユカリちゃんが大ファンで、ロック、とくにビートルズ好きだったぼくに、「チューリップもいいよ~」と言って2枚組ベスト・アルバム「チューリップ・ガーデン」を貸してくれたことでよく聴くようになりました。たしかにビートルズの影響は大きいながらも、フォークやポップスなどのテイストを加味した、日本人ロック・グループらしいオリジナリティが感じられました。
 高校2年の時の学園祭で、先輩に誘われてチューリップのコピーバンドでドラムを叩いてからは、いっそうチューリップが身近なグループになっていました。


 そういうわけで充分チューリップとの接点があったぼくが、大好きなまりさんの誘いを断るわけがありませんね。


 コンサートの内容はあきれるほど覚えていません。当時リリースしたばかりのニュー・アルバムからの選曲がほとんどだったので、知らない曲が多かったせいもあるかもしれません。それより、大好きなまりさんとふたりでコンサートへ行った、ということでポーッとなっていたのかな。
 でも、アンコールで「心の旅」をはじめとするヒット・ナンバーの数々を繋げたメドレーを披露してくれたことは覚えていますね。また財津さんがピアノをギターに持ち替えたりしてマルチ・プレーヤーぶりを発揮するところなんか「カッコいいな~」なんて思ったものです。


 さて、ぼくたちはコンサートが終わってどうしたでしょうか。
 自転車置き場まで手を繋いで歩いたのは覚えています。
 それからふたりは・・・、てなことはあるはずもなく、ぼくは自転車でまりさんを家まで送っていきました。
 家につくとまりさんは、「お腹すいたんじゃないの? 何か食べて帰る?」と言って天丼を作ってくれました。おかあさんもおばあさんもいるのに(おとうさんは確か入院中だった)、こんな遅くに(10時くらいだったかなぁ)家にあがるのもどうかと一瞬思ったんですが、たしかにお腹がすいていたのと、もう少しまりさんの顔を見ていたかったので、図々しくもお邪魔することにしました。


 居間で話し込んでいるうちに、気が付くと明け方の5時!
 大慌てでまりさん宅をあとにして自転車で家まで帰ったんですが、不思議と両親に叱られた記憶がないのです。きっと、楽しかったことしか記憶に残ってないのでしょうね。


 さて、そんなぼくとまりさんの関係ですが、付き合っていたのか、とよく聞かれましたが、実のところはどうだったのかなあ。ぼくは彼女に改まってお付き合いを申し込んだこともなかったし、実のところまりさんがぼくのことをどう思っているのかを知るのが何となくこわくもあったので、まりさんの気持ちは聞かずじまいだったんです。2~3年はこんな調子でしょっちゅう会ってたんですが、そのうちまりさんには彼ができ、いつの間にか会うことも電話することもなくなって…
 でもよく夜にふたりきりで会ってくれたりとか、(コワゴワだったけど^^;)手を繋いだり肩を抱いたりしてもそれに応じてくれたこととか、そんなことを思うと、一時期ではあってもぼくに好意は寄せてくれていたのかなあ、なんて思ったり・・・。


 今になって思い出してみると、ちょっと甘くてちょっとホロ苦いような、そんな高校時代の恋バナです(^^)



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コメント (16)
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