♪ライヴ・ハウスの雰囲気。
いびり。文字通り先輩が後輩に対して行うイジメです。バンドマン間の隠語では「ビリイ」などと言ったりします。でも、この記事の場合のいびりは、いわゆる「愛のムチ」的なものだと思って下さいませ。今、世間で問題になっている「イジメ」とはちょっとニュアンスが違うんです。
現場での花形は、歌入りの曲をやる場合、やはり歌い手さんですね。華がありますし、ステージの正面に立つので、どうしても目立ちます。でもそのあたりをカン違いした、気位ばかりが高くて感じの悪い歌い手さんも時々いらっしゃるわけでございます(そんなのに限って美人だったりする)。そういう歌い手さんは、バンドに対しての挨拶もロクにしないで、ツーンとしていたりします。するとバンマス(バンド・マスター。早く言えばリーダーですね)のコメカミがピクリとするわけです。バンドがあってはじめて歌が引き立つわけですからね。
リハーサルを滞りなく済ませた後も、その歌い手さんは「よろしくお願いします」の「よ」の字も言わない。
ぼくが心から尊敬するある大ベテラン・ミュージシャンからこう教わったことがあります。「MINAGIなぁ、ヴォーカリストは可愛がられてナンボやで。可愛がられるようにまず挨拶からキチンとせなアカン」。事実その大ベテランさんは、ちゃんと挨拶のできなかった若手ヴォーカリストをリハーサルの段階で即座にクビにしたことがあるというキビしいお方です。
さて、その可愛げのない歌い手に対して、わがバンマスはどういう行動に出たでしょう。呼びつけて説教? こちらも無視? いえいえ、本番にはわざとキーを1音あげて演奏するよう指示を出したりするのです。高い声を出す必要がある曲でそれをやられると、ニワトリが首を絞められたような歌になっちゃうワケです(^^;)。
または、例えば歌詞が3番までしかない曲なのに、バンドだけ知らん顔で(あるはずのない)4番に突入したりするのです。3番を歌い終えてエンディングを待っていた歌い手さんは一瞬シドロモドロになりますね。
その代わり、演奏はカンペキに演るのです。するとどうなるか。客席には歌い手さんだけボロが出たように見えるのです。コワイですね~(^^;)
一番左がワタクシです
あるジャズ・シンガーが、ピアノ(日本ではトップ・クラスの方です)に対して、「イントロ、フリーでお願いします」と言いました。ピアノさんは言われた通りゴギャングワンとフリー・ジャズでイントロをつけました。もちろんそんなイントロで歌を歌えるワケがありませんね。そうです、そのシンガーは「テンポ・フリー」をお願いしたかったんですね。
この場合はイビリではなくて、たんなるピアノさんのカン違いなのですが、そのセット(1部2部を1セット2セットと言ったりします)が終わった休憩中に、控え室で歌い手さんは泣いてしまいました。それを見たバンド仲間はさすがにピアノさんに対して「あんなビリイはねえだろう」と諫めたそうです。ピアノさんはバツが悪くて頭をかきっぱなしだったようです。
さて、ぼくも一度だけ、あからさまにイビられたことがあります。ぼくをイビったのはTさんという大阪のジャズ・シンガーでした(やっぱり美人でした^^;)。
いや、挨拶はキチンとしたんですよ。かわいらしく。でも本番前の空き時間や、セットとセットの間の空き時間に、ぼくは打ち合わせに出ずに、ライヴ・ハウスの外で女の子としゃべったりしてたんです(汗)。ジャズのライヴって、打ち合わせしてても本番中にいきなり違う曲に変更されることなんてしょっちゅうだから、Cメロ譜(メロディーとコードだけが書かれた楽譜)だけ渡してもらえればいいや、と軽く考えていたのが間違いの元でした。
本番が始まってもTさんは譜面をくれません。それどころかぼくの方さえ見てくれないので「譜面がないよ~」という合図もできません。しかもとどめに、曲を始める時に、誰にもきこえないように、ピアノさんの耳元でそっと曲名とキーを囁くのです。だから何が始まるのかも分からないし、自分の譜面帳を繰るヒマもありません。曲が始まったら冷や汗をかきながらついて行くだけです。ピアノの音を聴きながらキーを探り、コードを探りながら、ヨタヨタと演奏するばかりです。おかげでベース(ぼくです)だけがボロボロになって恥をかかされてしまいました。コワイですね~、イビリ(^^;)。この場合、自分に対して「何が起きても大丈夫なようにメモリー(暗記した曲)を増やせ」という教訓が生まれたわけです。
でも、そうやってシゴカれて、礼儀を教わったり、音楽を教わったりするわけですね。そこがイジメと違って「愛のムチ」たるゆえんなんです。みんな一度や二度はそういう経験を持っているのです。それが、時が経つと笑い話にもなるんですね。
人気blogランキングへ←クリックよろしくお願いします<(_ _)>
いびり。文字通り先輩が後輩に対して行うイジメです。バンドマン間の隠語では「ビリイ」などと言ったりします。でも、この記事の場合のいびりは、いわゆる「愛のムチ」的なものだと思って下さいませ。今、世間で問題になっている「イジメ」とはちょっとニュアンスが違うんです。
現場での花形は、歌入りの曲をやる場合、やはり歌い手さんですね。華がありますし、ステージの正面に立つので、どうしても目立ちます。でもそのあたりをカン違いした、気位ばかりが高くて感じの悪い歌い手さんも時々いらっしゃるわけでございます(そんなのに限って美人だったりする)。そういう歌い手さんは、バンドに対しての挨拶もロクにしないで、ツーンとしていたりします。するとバンマス(バンド・マスター。早く言えばリーダーですね)のコメカミがピクリとするわけです。バンドがあってはじめて歌が引き立つわけですからね。
リハーサルを滞りなく済ませた後も、その歌い手さんは「よろしくお願いします」の「よ」の字も言わない。
ぼくが心から尊敬するある大ベテラン・ミュージシャンからこう教わったことがあります。「MINAGIなぁ、ヴォーカリストは可愛がられてナンボやで。可愛がられるようにまず挨拶からキチンとせなアカン」。事実その大ベテランさんは、ちゃんと挨拶のできなかった若手ヴォーカリストをリハーサルの段階で即座にクビにしたことがあるというキビしいお方です。
さて、その可愛げのない歌い手に対して、わがバンマスはどういう行動に出たでしょう。呼びつけて説教? こちらも無視? いえいえ、本番にはわざとキーを1音あげて演奏するよう指示を出したりするのです。高い声を出す必要がある曲でそれをやられると、ニワトリが首を絞められたような歌になっちゃうワケです(^^;)。
または、例えば歌詞が3番までしかない曲なのに、バンドだけ知らん顔で(あるはずのない)4番に突入したりするのです。3番を歌い終えてエンディングを待っていた歌い手さんは一瞬シドロモドロになりますね。
その代わり、演奏はカンペキに演るのです。するとどうなるか。客席には歌い手さんだけボロが出たように見えるのです。コワイですね~(^^;)
一番左がワタクシです
あるジャズ・シンガーが、ピアノ(日本ではトップ・クラスの方です)に対して、「イントロ、フリーでお願いします」と言いました。ピアノさんは言われた通りゴギャングワンとフリー・ジャズでイントロをつけました。もちろんそんなイントロで歌を歌えるワケがありませんね。そうです、そのシンガーは「テンポ・フリー」をお願いしたかったんですね。
この場合はイビリではなくて、たんなるピアノさんのカン違いなのですが、そのセット(1部2部を1セット2セットと言ったりします)が終わった休憩中に、控え室で歌い手さんは泣いてしまいました。それを見たバンド仲間はさすがにピアノさんに対して「あんなビリイはねえだろう」と諫めたそうです。ピアノさんはバツが悪くて頭をかきっぱなしだったようです。
さて、ぼくも一度だけ、あからさまにイビられたことがあります。ぼくをイビったのはTさんという大阪のジャズ・シンガーでした(やっぱり美人でした^^;)。
いや、挨拶はキチンとしたんですよ。かわいらしく。でも本番前の空き時間や、セットとセットの間の空き時間に、ぼくは打ち合わせに出ずに、ライヴ・ハウスの外で女の子としゃべったりしてたんです(汗)。ジャズのライヴって、打ち合わせしてても本番中にいきなり違う曲に変更されることなんてしょっちゅうだから、Cメロ譜(メロディーとコードだけが書かれた楽譜)だけ渡してもらえればいいや、と軽く考えていたのが間違いの元でした。
本番が始まってもTさんは譜面をくれません。それどころかぼくの方さえ見てくれないので「譜面がないよ~」という合図もできません。しかもとどめに、曲を始める時に、誰にもきこえないように、ピアノさんの耳元でそっと曲名とキーを囁くのです。だから何が始まるのかも分からないし、自分の譜面帳を繰るヒマもありません。曲が始まったら冷や汗をかきながらついて行くだけです。ピアノの音を聴きながらキーを探り、コードを探りながら、ヨタヨタと演奏するばかりです。おかげでベース(ぼくです)だけがボロボロになって恥をかかされてしまいました。コワイですね~、イビリ(^^;)。この場合、自分に対して「何が起きても大丈夫なようにメモリー(暗記した曲)を増やせ」という教訓が生まれたわけです。
でも、そうやってシゴカれて、礼儀を教わったり、音楽を教わったりするわけですね。そこがイジメと違って「愛のムチ」たるゆえんなんです。みんな一度や二度はそういう経験を持っているのです。それが、時が経つと笑い話にもなるんですね。
人気blogランキングへ←クリックよろしくお願いします<(_ _)>
急にキー上げられたり譜面の進行変えられたりしたら、泣いちゃいます。
演劇の師匠にいやと言うほど挨拶を仕込まれたことと、幸いにもワタシは美人ではないのでツンとしてると生きていけない為、挨拶だけはきちんとしてますけど、舞台裏はいろいろありますね。出演者だけでなくPAさんとかも難しいひと多かったりするし・・・(泣)
はっ、しまった愚痴ってしまいましたゴメンナサイ
下の記事ですが、私はこのブログは趣味の領域を超えてるよな~、と、常々感動させていただいております。私も「音が出たらいいのにな~」といつも思っています。「ゆ~ちゅ~ぶ」使えば聴ける曲もあるんですか?私もよくわかってないんですが
そんな折に、僅かばかりのセンパイの僕らは、敢えて元気付けたりはしないで、突き放します。
そこでくじけない時が彼らの成長を促すと考えているからです。
昨日は泉水さんのコンサートDVDでしこたま泣きました。
泣いてばかりでは、立ち直れもしないので歩き出す決意をしました。
彼女は・・・永遠の存在になられたのだと思うことにしました。
いつも暖かなコメントをありがとう御座います^^;
でも、不測の事態にいかに臨機応変に対処できるか、という訓練だと思えばいいわけですよね。
どこの世界でも同じだと思いますけれど、挨拶は重要ですよね。ぼくもいろいろ厳しく教えて頂きました。
>PAさん
そうそう、そうなんですよ~、PAさんって職人気質のムヅカシイ人が多いから、いつも下手に出てます(笑)
>下の記事
ぎゃー、感動だなんて、、、ありがとうございます
そうですねー、音があった方が分かりやすいですもんね。ゆーちゅーぶは音声つき動画のサイトなんですよ。いろんなミュージシャンの映像も見られるので、なるべくリンクしたり、試聴を貼り付けたりしてみます。この記事では、少し下になりますが、「アローン・アゲイン」や「ヘイ・ジュード」の記事中、下線部分をクリックすると動画が見られるようにしてありますので、参考までにご覧くださいませ。
ちなみにURLは→です。 http://www.youtube.com/
そうでしょうね。手を差し伸べるだけが後輩を育てることにはならないですもんね。時には厳しく、あとフォローを忘れず、ってとこでしょうか。
「獅子はわが子を谷底に~」とも言いますよね。
泉水さんはほんとうにお気の毒だと思います。秋の新作に向けていろいろ打ち合わせをしていたそうですから、自分で自分の生涯を終わらせたとは考えられません。
>彼女は・・・永遠の存在になられたのだ
そうですね。そういう風に考えてあげられると泉水さんも少しは救われるのではないかと思ったり。。。
ひろさんも泣きたいだけ泣いていいと思うんです。
泣きたいだけ泣いたら元気出してね。
こわい世界ですね~
これからはライブに行った時の演奏者の観察が楽しみです♪
そういえば昔、中学の音楽会でピアノを弾いた時、譜めくり係の女の子が必要以上に早く楽譜をめくるので、メタメタになった事があります。
あれも、愛のムチ?
コワイですね~、コワイコワイ、ですね~、と思わず淀川長治さんのようになっちゃいましたが、後進を育てようとするイビりと、単なるイジメとは全然違いますのでご安心ください(^^)。
>中学の音楽会でピアノを弾いた時
その譜めくり係さんはまだまだ未熟だったのでしょう。
そういう時にこそNobさんが譜めくりさんに愛のムチを食らわすべきだったんですね(笑)。
音楽に対しても ブログに対しても 読者に対しても、とても丁寧に接している・・・そういう感じが随所に現れていると思います。そういう文章だから 読み応えがあるのでしょう。
この記事もMINAGIさんの経験が織り込まれていて とても引き込まれます。いじめのような陰湿なものではなく、人を育てる意味があるのでしょう。それにしても・・・こわいですねー(笑)
ここだけ100回ほどコピペしたいです(笑)
そんな風に受け取って頂いて嬉しいです。ありがとうございます。(ホントは人に言えないワルさも結構してるんですよ^^;)
>とても丁寧に接している
そうですね~。そういうとこはそうでありたいな、と思ってます。いや、逆にぼくがいつも丁寧に接してもらっているから、自分もそうなるのかもしれないです。
>人を育てる意味
そのあたりがイジメとイビリの違いなんでしょうね。厳しくされていながらも、いつも使って貰っている場合は育てようとしてくれているはずですから。
今、日野皓正さんのバンドでドラムを叩いている弱冠16歳の和丸君は、本番中にいきなり「ドラムだけで沖縄の海を表現してみろ」と言われたりするそうです。こういうのがイジメではなくて、「育てている」ということなんですよね。でもやっぱりイビられるのはコワイコワイ(^^)
>まずは挨拶から・・・これができない人ってけっこうどこにでもいますね。困ったものですね。音楽もそういうコミュニケーションが基本ですよね。
ところで、MINAGIさんのステージ風景、カッコイイじゃないですか(^^)/かなり使い込まれたフェンダーベースが渋い!
>挨拶
そうそう、できない人、いますいます。どこの世界にもいろんな人がいるもんですよね~(^^;)
>フェンダーベース
渋いですか~、ありがとうございます(^^)。渋いどころか、古い(わはは)んですよ、あれ。どこかにも書きましたけど、30年くらい前の製作で、ぼくが使い始めてから20年以上経ってるんです。
ステージ風景、カッコイイだなんて、カルロスさん照れますわ♪ でもなるべく顔がハッキリ写ってないものを選んでみました~