ある音楽人的日乗

「音楽はまさに人生そのもの」。ジャズ・バー店主、認定心理カウンセラー、ベーシスト皆木秀樹のあれこれ

シカゴXI (Chicago XI)

2008年04月25日 | 名盤

 シカゴは、ぼくが最も好きなロック・グループのひとつです。高校時代には、とにかく聴きあさりました。


 学校の近くに、Nさん兄弟が経営している中古レコード店がありました。弟のヒロシさんはアマチュアの域を超えたギタリストでした。(現在でも地元在住のプロ・ギタリストとして活躍しています)
 学校の帰りによくそこへ寄っては、ヒロシさんの学生時代の話や、音楽の話を聞いたものです。大学時代に某有名ジャズ・プレイヤーのバンドに誘われたこと、思い立って渡米し、ジョージ・ベンソンにギターを習いに行ったことなどなど…。


 そのお店では、さまざまなグループのレコードを聴かせて貰いました。そこで薦められたレコードのひとつが、この「シカゴⅪ」です。文字通り、シカゴの11枚目のアルバムです。


     
     

 この頃のシカゴは、ひと昔前のブラス・ロックから脱皮していて、洗練された都会的なポップ色が濃くなりつつあったので、ひところのハードな音が好きだったぼくにはやや物足りない気がしていました。しかし、聴いてゆくほどにこのアルバムのバラエティに富んだ作風が好きになっていったのです。


 2曲目の「朝もやのふたり」は、全米チャート4位に入るヒット・ナンバーですが、ぼくは、9~11曲目にかけてのメドレー(「ある男の苦悩~前奏曲~愛しい我が子へ」)の美しさの方がたまらなく好きなのです。


     


 その頃はよく夜更かしをして、ラジオの深夜放送を聴いたり、好きなレコードを聴きながら本を読んだり、物思いにふけったりして、寝そびれたまま明け方を迎えることがままありました。
 真っ暗だった外が、夜が明けかかって青みがかかったように見える時、このレコードを聴いていると、ひとりぼっちでいることの寂しさがひときわ感じられました。そして曲が「ある男の苦悩」に移ると、ぼくの部屋にだけ一足早く朝日が昇ってゆくような錯覚に陥ったものです。


 精神的に不安定だったギタリストのテリー・キャスは、このアルバムの収録を最後に、ピストル事故(ロシアン・ルーレットをしていたという)で不慮の死を遂げています。そんな悲しいニュースも伝わって来て、よけいにしみじみ聴きこんだという記憶があります。


     
     テリー・キャス


 今でも夜中に一息入れたい時など、時々トレイに乗せる一枚です。


     
 
 
◆シカゴⅪ/Chicago Ⅺ 
  ■リリース
    1977年9月12日
   ■プロデュース
    ジェイムス・ウィリアム・ガルシオ/James William Guercio
  ■録音メンバー
   【Chicago】
    ロバート・ラムRobert Lamm/(Keyboards,vocals,percussion)
    テリー・キャス/Terry Kath(guitars,vocals,percussion)
    ピーター・セテラ/Peter Cetera(bass,vocals)
    ダニエル・セラフィン/Daniel Seraphine(drums,percussion)
    ロウディー・デ・オリヴェイラ/Laudir De Oliveira(percussion)
    ジェイムス・パンコウ/James Pankow(trombone,keyboards,percussion,vocals)
    リー・ローグネイン/Lee Loughnane(trumpet,vocals)
    ウォルター・パラザイダー/Walter Parazaider(sax,flute,clarinet)  
  ------------------------------------------------------
   【Guest】
    デヴィッド・"ホーク"・ウォリンスキー/David "Hawk" Wolinski(keyboard⑤⑪)
    ジェイムス・ウィリアム・ガルシオ/James William Guercio(guitar②)
    ティム・セテラ/Tim Cetera(backing-vocal②)
    カール・ウィルソン/Carl Wilson(backing-vocal②)
    チャカ・カーン/Chaka Khan(backing-vocal⑤)
    ドミニク・フロンティア/Dominic Frontiere(orchestration②⑨)
   ■収録曲
   A① ミシシッピー/Mississippi Delta City Blues (Kath)
    ②朝もやの二人/Baby, What a Big Surprise (Cetera) ☆全米4位、全英41位
    ③永遠の愛/Till the End of Time (Pancow)
    ④孤独なポリスマン/Policeman (Lamm)
    ⑤シカゴへ帰りたい/Take Me Back to Chicago (Seraphine, David Hawk Wolinski) ☆全米63位
   B⑥僕の公約/Vote for Me (Lamm)
    ⑦無情の街/Takin' It on Uptown (Kath)
    ⑧今度こそは/This Time (Loughnane)
    ⑨ある男の苦悩/The Inner Struggles of a Man (Dominic Frontiere, Instrumental)
    ⑩前奏曲(愛しい我が子へ)/Prelude(Little One) (Seraphine, David Hawk Wolinski)
    ⑪愛しい我が子へ/Little One (Seraphine, David Hawk Wolinski) ☆全米44位
    ☆=シングル・カット
  ■チャート最高位
    1977年週間チャート アメリカ(ビルボード)6位



 


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2 コメント

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おはようでごぢゃる♪ (Nob)
2008-04-26 09:25:56
シカゴは年代、アルバムによって雰囲気がガラっと変わりますよね!
私が一番お馴染みなのは60年代後期~70年代前半なんですが(汗)80年代以降にも好きな曲はポツポツあります。
こちらのアルバムはバラード系ではないんですね。
初期に近いイメージなのでしょうか~
だったら、すぐに馴染めるんですが・・・(汗)
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Nobさん (MINAGI)
2008-04-26 10:04:43
おはようでござりまするん♪
ぼくもシカゴは70年代前半までのゴリゴリのブラスロック時代が大好きなのですよ。
このアルバムは、ややソフトになりつつも、過去のゴリゴリ時代の名残りもある、といった感じでしょうか。まだ80年代ほどAOR化はしてないですよ。
ギターのテリー・キャスがいるのといないのとでは大違いですよね。
でも「朝もやのふたり」はピーター・セテラ作・歌だけあって、かなり甘いバラードです。
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