【Live Information】
ロックやポップスの黄金時代を創りあげてきた、ぼくたちにとっては憧れだったミュージシャンの訃報が続きますね。
デヴィッド・ボウイ、グレン・フライ、モーリス・ホワイト・・・。
今年(2016年)1月28日には、1960~70年代のアメリカのロック界を席巻したバンド、「ジェファーソン・エアプレイン」に関わりのあるふたりのミュージシャンが亡くなりました。
創設メンバーのひとり、ポール・カントナーと、初代女性ボーカリスト、シグニ・トリー・アンダーソンです。
ふたりとも74歳でした。
ジェファーソン・エアプレインをはじめて聴いたのは、ぼくがまだ高校に通っていた30年以上も前のことです。
NHK-FMだったと思うけれど、渋谷陽一さんがパーソナリティを務めていた音楽番組で「あなただけを(Somebody To Love)」を聴いたんです。
「スタジオ録音のオリジナル・ヴァージョンよりこっちの方がいいから」ということで、渋谷さんは、あえてライヴ・アルバム「フィルモアのジェファーソン・エアプレイン」に収録されていたものを放送してくれたんです。
いま聴いてみると、粗削りではありますがとても瑞々しく、それでいて存在感たっぷりで、ライヴ会場の雰囲気ごとパッケージされた感じが熱気となって伝わってきます。
「フィルモアのジェファーソン・エアプレイン (Bless It's Pointed Little Head)」(1969)
こうして、手当り次第にいろんなロックを聴き漁っていた当時のぼくの脳に「ジェファーソン・エアプレイン」は深く刻まれました。
ジェファーソン・エアプレインは、1965年に結成されたサンフランシスコ出身のロック・バンドです。
創設メンバーは、
マーティ・バリン(vocal)
シグニ・トリー・アンダーソン(vocal)
ポール・カントナー(guitar, vocal)
ボブ・ハーヴェイ(bass)
ジェリー・ペロクィン(drums)
ですが、1966年に発表されたデビュー・アルバムでは
マーティ・バリン(vocal)
シグニ・トリー・アンダーソン(vocal)
ポール・カントナー(guitar, vocal)
ヨーマ・コウコネン(guitar)
ジャック・キャサディ(bass)
スキップ・スペンス(drums)
となり、翌1967年にはアンダーソンの代わりにグレース・スリック(vocal, piano, organ)が、スペンスの代わりにスペンサー・ドライデン(drums)が加入して、バンドのサウンドが固まってゆきます。
グレース・スリック。ジャニス・ジョプリンと並ぶ、女性ロッカーの草分け的存在。
ジェファーソン・エアプレインは、反戦・反体制・ドラッグなど、当時のヒッピー文化を代表するバンドのひとつで、「カウンター・カルチャーの申し子」とも言われて絶大な支持を集めました。
音楽的にはドラッグ体験から来るサイケデリックなフォーク・ロックを基調としていましたが、当時のメンバーであるマーティ・バリンはポップスやR&B、ポール・カントナーはフォーク、ヨーマ・コウコネンはブルースなど、内側には多様な音楽性を秘めていたので、単なるサイケデリック・ロックの範疇にはおさまらない、スケールの大きなバンドに成長しました。
「飛行記録(Flight Log 1966~1976)」は、ジェファーソン・エアプレインのベスト・アルバムです。当時はアナログ盤2枚組で、新品だとおそらく高校生には手が出せなかったと思いますが、中古レコード店で見つけて、それでも思い切ってレジに持っていった記憶があります。
収められているのはジェファーソン・エアプレインの作品のほか、在籍メンバーによる別ユニット(ポール・カントナーのソロ作品、ポール・カントナー&グレイス・スリック名義作品、ヨーマ・コウコネンとジャック・キャサディが作ったブルース・バンド「ホット・ツナ」の作品、ジェファーソン・スターシップの作品、ポール・カントナー、グレース・スリック&デヴィッド・フライバーグ名義の作品、ヨーマ・コウコネンのソロ作品)の曲も含まれています。
最初に聴いた時は、曲に染みついている仄暗い雰囲気や、うっすらとまとった毒々しさが新鮮に聴こえましたが、そういうサイケデリックな感覚よりも、「あなただけを」や「ヴォランティアーズ」のような、当時のぼくに分かりやすい曲の方を好んで聴いていました。
ベトナム戦争を描いた1986年の映画「プラトーン」で、チャーリー・シーン演じる主人公が夕闇に近い日暮の中で佇んでいる場面にエアプレインの「ホワイト・ラビット」が使われていましたが、曲とボーカルのどこか虚無的なところがその場面にこれ以上ないくらいぴったりしていて、エアプレインの魅力を改めて感じ取ることができました。
レコードで持っていた「飛行記録」は引っ越しの時に紛失してしまいました。カセット・テープだけは大事に取ってありましたが、CDとして再発されているのに遅まきながら気づいたので、先日無事に購入することができました。
レコードとCDの違いはあっても、25~30年ぶりくらいにようやく「再会」することができました。
◆飛行記録'66~'76/Flight Log(1966-1976)
■歌・演奏
ジェファーソン・エアプレイン
■リリース
1977年1月7日
■収録曲
[side-A]
① カム・アップ・ジ・イヤーズ/Come Up the Years (Jefferson Airplane : by Balin, Kantner)
② ホワイト・ラビット/White Rabbit (Jefferson Airplane : by Slick)
③ 帰っておくれ/Comin' Back to Me (Jefferson Airplane : by Balin)
④ ウォント・ユー・トライ/サタデー・アフタヌーン/Won't You Try/Saturday AQfternoon (Jefferson Airplane : by Kantner)
⑤ グリージー・ハート/Greasy Heart (Jefferson Airplane : by Slick)
⑥ イフ・ユー・フィール/If You Feel (Jefferson Airplane : by Balin, Gary Blackman)
[side-B]
⑦ あなただけを/Somebody to Love (Jefferson Airplane : by Darby, Slick)
⑧ 木の舟/Wooden Ships (Jefferson Airplane : by David Crosby, Kantner, Stephen Stills)
⑨ ヴォランティアーズ/Volunteers (Jefferson Airplane : by Balin, Kantner)
⑩ ヘジテイション・ブルース/Hesitation Blues (Hot Tuna : traditional, arranged by Kaukonen, Casady)
⑪ ハヴ・ユー・シーン・ザ・スターズ・トゥナイト?/Have You Seen the Stars Tonite? (Paul Kantner : by David Crosby, Kantner)
[side-C]
⑫ シルヴァー・スプーン/Silver Spoon (Paul Kantner & Grace Slick : by Slick)
⑬ とても良い気分/Feel So Good (Jefferson Airplane : by Kaukonen)
⑭ プリティ・アズ・ユー・フィール/Pretty as You Feel (Jefferson Airplane : by Covington, Casady, Kaukonen)
⑮ ミルク・トレイン/Milk Train (Jefferson Airplane : by Slick, Papa John Creach, Roger Spotts)
⑯ ジャ・ダ/Ja da (Keep on Truckin') (Hot Tuna : by Bob Carleton)
[side-D]
⑰ カム・アゲイン・トゥカン/¿Come Again Toucan? (Grace Slick : by Freiberg, Slick)
⑱ 中国のスケッチ/Sketches of China (Paul Kantner, Grace Slick & David Freiberg : by Kantner, Slick)
⑲ ジェネシス/Genesis (Jorma Kaukonen : by Kaukonen)
⑳ 吠えろタイガー/Ride the Tiger (Jefferson Starship : by Kantner, Slick, Byong Yu)
㉑ プリーズ・カム・バック/Please Come Back (Jefferson Starship : by Ron Nagle)
■録音メンバー
シグニ・トリー・アンダーソン/Signe Toly Anderson (vocals ①)
グレイス・スリック/Grace Slick (vocals, piano, organ ②~⑨, ⑪~⑮, ⑰~⑱, ⑲~㉑)
マーティ・バリン/Marty Balin (vocals, guitar ①~⑨)
ポール・カントナー/Paul Kantner (vocals, guitar ①~⑨, ⑪~⑮, ⑱, ⑳~㉑)
ヨーマ・カウコネン/Jorma Kaukonen (vocals, guitar ①~⑩, ⑬~⑯, ⑲)
デヴィッド・クロスビー/David Crosby (vocals, guitar ⑪)
クレイグ・チャキーソ/Craig Chaquico (guitar ⑰, ⑳~㉑)
ジェリー・ガルシア/Jerry Garcia (pedal-steel-guitar⑪, guitar⑱)
ジャック・トレイラー/Jack Traylor (guitar ⑱)
トム・ホブソン/Tom Hobson (guitar)
ジャック・キャサディ/Jack Casady (bass ①~⑩, ⑫~⑯)
デヴィッド・フライバーグ/David Freiberg (bass, keyboards, guitar ⑰~⑱, ⑳~㉑)
ピート・シアーズ/Pete Sears (bass ⑳~㉑)
クリス・エサリッジ/Chris Ethridge (bass ⑱)
パパ・ジョン・クリーチ/Papa John Creach (violin ⑫~⑯)
スキップ・スペンス/Skip Spence (drums ①~②)
スペンサー・ドライデン/Spencer Dryden (drums ③~⑨)
ジョーイ・コヴィントン/Joey Covington (drums ⑫~⑭)
ジョン・バーベイタ/John Barbata (drums ⑮, ⑰~⑱, ⑳~㉑)
サミー・ピアッツァ/Sammy Piazza (drums ⑯)
ミッキー・ハート/Micky Hart (percussion ⑪, ⑱)
ニッキー・ホプキンス/Nicky Hopkins (piano)
ニック・バック/Nick Buck (piano)
ウィル・スカーレット/Will Scarlett (harmonica)
■チャート最高位
1977年週間チャート アメリカ(ビルボード)37位
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