Die Lotosblume aengstigt
Sich vor der Sonne Pracht,
Und mit gesenktem Haupte
Erwartet sie traeumend die Nacht.
Der Mond,der ist ihr Buhle,
Er weckt sie mit seinem Licht,
Und ihm entschleiert sie freundlich
Ihr frommes Blumengesicht.
Sie blueht und glueht und leuchtet,
Und starret stumm in die Hoeh;
Sie duftet und weinet und zittert
Vor Liebe und Liebesweh.
蓮の花は恐れている
輝く太陽の光を
頭を垂れて
夢見ながら夜を待っている
月が蓮の恋人
その光に蓮は目を覚ます
そしてうれしげにヴェールを取り
淑やかな花の顔を見せる
花開き、光輝き
黙って空を見上げる
香り、泣いて震える
愛と愛の痛みに
ハイネ詩 わが拙訳
シューマンの歌曲集「ミルテの花」の中の一曲「ハスの花」の歌詞は
ハイネのこんなに美しい詩です。メロディーもまた繊細微妙、振幅の
小さい音の動きで、夜開く蓮の淑やかな美しさを余すところなく表現
しています。それだけに歌うとなると難しい。ドラマチックな華やか
なイタリア歌曲の対極にあるような曲です。珠玉の名曲というのは、
こんな曲を言うのでしょうか。
これは去年の夏、平城宮跡を訪れた時、太極殿のそばに咲いていた蓮。
猛暑の中、まさに一服の清涼剤でした。蓮はお釈迦さまのお花です。
ハイネもシューマンも東洋の神秘を感じて、この曲を作ったのかもしれ
ません。詩と曲の静かなゆらぎに何か西洋的でないものがあるような。
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