南紀とは紀伊の国のこと。紀伊半島の南半分くらいを言うのでしょうか。
その先端の白浜の辺りはまさに南国、植生もかなりトロピカルです。そ
して海は黒潮という名の通り、深い深い瑠璃色です。この紺碧の海の向
こうにまだ見ぬ文明があるのだと、南方熊楠がアメリカへイギリスへと
旅だったのでしょう。
白浜の海に突き出た番所山公園の中に、
南方熊楠記念館の新館があります。
本館は生誕地の田辺市にありますが、この新館は規模も内容も充実してい
ます。熊楠が生涯書き続けた膨大な資料に圧倒されます。まさに知の巨人。
資料館近くの浜辺から名勝円月島や美しい海の風景が望めます。真昼だっ
たのですが、逆光で、こんな幻想的な写真が撮れました。
近くの串本町に、弘法大師と天邪鬼のユーモラスな伝説のある
橋杭岩
というの景勝があります。海の浸食で、岩がまるで橋の杭のように大
小40もの岩が立ち並ぶ、面白い景観の場所です。ちょっとストーン
ヘンジ風でもありますが、これは全くの自然の造形。
そこから海岸沿いに北へ行くと、クジラ漁で有名な太地町があります。
町立
くじらの博物館前の捕鯨船とその前にある古式鯨取り漁師の像。
歩道には色々な種類のクジラやイルカの絵のタイルが張られています。
巨大なクジラの骨の複製。横にプールがあって、イルカショーが見られ
ます。館内では、古式漁法、近代漁法の解説、舟や道具の展示などあり
ます。クジラやイルカ漁に関しては賛否両論、確かに非常に残酷な側面
もあり、ますます複雑な気持ちになりました。この博物館は、どんな意
見にも偏らず、捕鯨のありのままを展示紹介しているのが好印象です。