シャフハウゼンはチューリッヒの北35キロ、11世紀ごろ建設された市です。
人口3万人強の、他のスイスの町同様こじんまりとした美しい市です。ここ
に以前日本で知己を得た宣教師のジグリスト夫妻がお住まいで、今回大
層歓迎していただきました。街を案内していただいた上、お家に泊めてい
ただき、近くのラインの滝にまでご夫妻で連れて行ってくださいました。
1500年ごろにはすでにスイス連邦に加盟していた市ですが、ライン川北岸
にあるため、二次大戦時はドイツと間違えられて米軍に爆撃され、たいそう
な被害を受けたとか。
昔ながらの美しい通り。壁面いっぱいに絵の描かれた騎士の館が壮観です。
窓のある張り出した角部屋(タレットというらしい)付きの建物がシャ
フハウゼンの建築の1つの特徴のようで、独特の雰囲気があります。
マノールというデパートの前で、思いがけず日本語を見つけました。
小説家有島武郎とティルダ・ヘックという女性の写真入りプレートです。
彼はこの町のことを「静寂古雅の町」と表現しました。ティルダと運命
的な出会いをして、以後16年間文通したそうです。有島武郎のせいか
どうか、彼女は一生独身を貫き、彼の死後ですが、日本にもやってき
たということです。
町の広場には、ウイリアム・テルの銅像もありました。やはりスイス。
丘の上に市のシンボルともいえるムノート城という円形の要塞があります。
16世紀半ば建立、デューラーの「砦」図を具現化したものだそうです。
要塞の周りにある堀に鹿がいました。牡鹿1頭と牝鹿、小鹿たちが草を食
んでいます。ここの雄鹿には代々市長さんの名前が付けられるのだとか。
ムノートの丘にあるバラ園からは、美しい街並みを見下ろすことができます。
芳しいバラの香りに包まれて、中世そのものの美しい町を見晴らす、ぜいた
くな時間でした。