前掲のどんづるぼうからの帰り、あまり車で通ったことのない葛城市の辺り
を走っていると、
石光寺(せっこうじ)というお寺がありました。まあ大和平
野のこの辺り、どこを歩いても古い由緒ある神社仏閣に行きあたるのです
が、ここもまた天智天皇の時代に役小角が創建したという相当の古刹です。
牡丹の花が非常に有名だそうです。後でホームページを見てちょっと驚いた
のですが、ご住職、なかなかに洒脱なお方のよう。お寺の案内が「住職ストリ
ートビュー前編・後編」という浴衣姿の茶髪の女性をご住職が案内する動画
になっています。ホームページ以外にブログも開設しておられ、一見ちょっと
俗っぽいような気もするけれど、遊び心のある魅力的なご住職のようです。
随所に奥ゆかしい格式も感じられます。
牡丹が有名ですが、一年中花の絶えない花の寺です。まだ寒牡丹には早い
時期でしたが、八重の椿がきれいでした。
複雑怪奇な形のサルスベリの木がありました。サルスベリも有名だそうです。
外人さんがソールズベリだと言ったのを、この花のことだと聞き間違えて
サルスベリというようになったという説があると、おっしゃっていますが、
それはちょっと眉つばものでしょう。
その他にも与謝野鉄幹その他の歌碑もあり、日本最古、白鳳時代の石仏が
出土した等、エピソードに事欠きませんが、その中でも一番興味深いのは
中将姫の伝説でしょう。
藤原氏の美しい姫、
中将姫が近くの當麻寺に出家され、蓮の茎で糸を撚り、
この石光寺の井戸に浸すと五色の美しい糸になり、それで素晴らしい「当麻
曼荼羅」を織り上げたという伝説が残っています。ツムラという製薬会社に
中将湯という婦人薬があります。薬草にも通じていた中将姫が出家する前、
家を出て身を寄せたのが、津村家の母方の実家だったとか。そこから姫の名
を取ったこの薬が生まれたのだとか。現代にもつながっているのですね。
牡丹の季節にもう一度ゆっくり訪れたいお寺です。