キッチン・トランスレーターつれづれ日記

つれづれなるままに日々のよしなしごとを綴ります。本、風景や花や料理、愛犬の写真などをご紹介。

フェルメール

2018-09-30 17:14:21 | 趣味
              

              金木犀の甘い香りが漂い始めました。あと数日楽しめそう

              です。もっとも、強い台風ですぐに散り果ててしまうかも。

              

              

              絵画教室で、ここ何回か名画の模写をしています。これは

              言わずと知れたフェルメールの名作「牛乳を注ぐ女」です。

              下の私の模写のまずさに愕然とします。各部分のつり合い

              が全く取れていません。難しい!これを完璧にやったのが

              美術史上最も有名な贋作者ハン・ファン・メーヘレン。な

              にしろ、フェルメールの贋作を11枚も描いて、高名な専門

              家たちを片っ端からだましたのですから。ナチスに自作の

              絵をフェルメールと偽って売りつけたところから足がつい

              たのだそうです。すごい力量です。でもなんとも無節操な。

              自分を認めない評論家たちへの復讐だったと語ったとか。

              
フェルメールになれなかった男: 20世紀最大の贋作事件 (ちくま文庫)
Frank Wynne,小林 頼子,池田 みゆき
筑摩書房


             フェルメールにはとても興味を惹かます。絵そのものに惹かれる

             だけでなく、彼をめぐる様々な逸話が何ともミステリアスです。

             贋作が多いこともそうですが、イザベラ・ガードナー美術館から

             盗まれた「合奏」が28年間行方不明のままだったり、IRAのテロ

             リストに盗まれて、思わぬところで発見されたり。
             
盗まれたフェルメール (新潮選書)
朽木 ゆり子
新潮社

            モデルになっている女性たちについても謎が多く、特定できない

            作品も多いようです。有名な「真珠の耳飾りの少女」を題材にし

            て英国の作家シュヴァリエが素敵な小説を書いて、スカーレット

            ヨハンソンの主演で映画にもなっています。
            
真珠の耳飾りの少女 (白水Uブックス)
Tracy Chevalier,木下 哲夫
白水社
真珠の耳飾りの少女 [Blu-ray]
スカーレット・ヨハンソン,コリン・ファース,トム・ウィルキンソン,キリアン・マーフィ,エシー・デイビス
ギャガ


              もうすぐ上野の森美術館でフェルメール展があるそうです。

              行こうと思いますが、すごい人でしょうね。
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秋の山辺の道を行く2

2018-09-28 10:46:42 | 歴史
               

               「ふすまぢを引き手の山に妹を置きて山路を行けば生けるともなし」

               万葉集巻二ー二一二の柿本人麻呂の歌です。「亡き妻を引き手の山に

               おいてたどる山道は、生きた心地もしない」妻との別れを痛烈に

               悲しむ歌です。山辺の道の途中衾田陵という御陵のそばに、犬養

               孝先生の字になる歌碑があります。千三百年以上も前、この道を

               悲しみに暮れて歩いた一人の男がいた。その思いを美しい言葉で

               詠み、それが今の世に残されて、秋のとある日、初老の私がその

               道を辿っている。思えば不思議に浪漫を感じることではあります。

               

               日本最古の道と言われる山辺の道は、今の奈良桜井から天理、天理

               から奈良へと通じる道でした。今回はその南道を天理から桜井の方

               向に歩きました。天理の起点は石上神宮です。日本最古の神社の一

               つで、うっそうとした森に囲まれた荘厳な雰囲気の神社です。

               

               天岩戸の故事に関係があるということで、神社の周辺や境内には

               たくさんの鶏が徘徊して鬨の声を上げているのは面白い光景です。

               

               昔は大寺であった内山永久寺跡。今は歌碑一つだけで、潔いくらい

               何も残っていません。永久寺という名前がある意味ふさわしい?

               山の辺の道マップを持って歩くと、立ち寄りスポットとそこまでの

               距離所要時間が書かれていてます。

               

                   

               内山永久寺の後に、夜都伎神社に立ち寄りました。名前のように

               うっそうとしたほの暗い木立の中の静かな神社でした。

                山の辺の道ははるけく野路の上に乙木の鳥居朱に立つ見ゆ

               広瀬東畝という日本画家の歌だそうです。山の辺の道を詠んだ美

               しい歌です。この歌のように、朱色の鳥居があるはずなのですが?

               石の鳥居しか見つけられませんでした。

                   

                   

                   

               道の所々に歌碑が立っています。万葉の、それも柿本人麻呂の歌が

               多いようです。

                あしひきの山川の瀬の響るなべに弓月が嶽に雲立ちわたる

               これも柿本人麻呂の歌。雄大な情景歌です。

               

               

               この辺りは大和古墳群の一角で、小高い山で、側に池がある所
             
               はたいてい古墳のようです。犬養先生の「ふすまぢ」の歌碑の

               すぐそばには、西殿塚古墳という比較的大きな古墳があります。

               継体天皇の手白香皇后の衾田陵ということになっています。卑

               弥呼の墓という説もあるそう。古代ロマンの香り。

               

               

               九月の末にしては暑く、途中でそうめんなど食べながら、汗だくで

               長岳寺までたどり着きました。南コースのちょうど中間地点です。

               弘法大師創建の古刹です。大寺ですが、静かな雰囲気のお寺で、花

               の名所、紅葉の名所でもあります。かなり歩いてようよう辿りつい

               いたので、疲れ切っていて、詳しく拝観する元気がなく、惜しいこ

               とをしました。

               

               お寺の内外にたくさんの猫ちゃんがいて、我が物顔で徘徊してい

               ます。鷹揚なお寺なんですね。

               石上神宮から長岳寺まで八キロほど、日ごろ歩かない私にはなか

               なかの距離でしたが、彼岸花の咲くのどかな田園風景の中に、古

               代を探す、楽しいハイキングでした。            
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秋の山辺の道を行く1

2018-09-26 15:13:55 | 季節
            


            お彼岸の頃の山辺の道は、どこまでもどこまでも満開の曼殊沙華。

            

            

            

            その昔、柿本人麻呂や額田王の歩いたころにも、この赤い花は咲い

            ていたのでしょうか?

            

            奈良の名産である大きな柿もたわわに実っています。

            

            長岳寺の塀に沿って夏の名残りの松葉ボタンが。この花は江戸末期

            に日本に渡来したそうです。

            

            秋海棠も古びた寺の門前に興を添えていました。でもね、松葉ボタ

            ンもそうですが、この和風の可憐な花も江戸時代に中国から渡来し

            たんですって。だから万葉人は見ていないわけです。

               秋海棠西瓜の色に咲きにけり            芭蕉

            西瓜は平安時代に日本に入ってきたようですが、渡来したばかりの

            秋海棠を詠むとは、さすが芭蕉さん、ハイカラだったんですね。
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彼岸花咲く十三夜のふるさと

2018-09-25 15:49:35 | 季節
             

             九月二十二日、父の十七回忌、母の七回忌で奈良吉野の実家に戻り

             ました。秋の爽やかな一日でした。日が暮れると、山の端に大きな

             美しい十三夜の月が。

             

             

             明日はお彼岸。彼岸花がその名の通り満開です。

             

             

             この頃は赤だけでなく白や黄色の彼岸花も見かけます。でもそれら

             は彼岸花というより、リコリスという洋名の方が似合うかも。少し

             黄色みがかってきた田んぼの畔に真っ赤な彼岸花が転々と咲いてい

             る、これぞ日本の田舎の秋の風景ですね。             

             

             お墓参りを終えて、お寺へ上がりました。村のお寺は曹洞宗の徳蔵寺。

             ここも今どきの田舎のお寺によくある後継者問題で大変なようですが

             お寺の内外、いつもすっきりきれいにしていらっしゃいます。

             

             

             

             夕暮れの境内に、彼岸花が美しく咲いていました。お寺の奥様

             が丹精込めて作っていらっしゃるお庭です。暮れなずむ境内に

             橙色の灯がともり、なかなかに幻想的な光景でした。

                十三夜遥かなること多くなり       佐伯のぶこ
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秋の絵本

2018-09-20 17:30:11 | 季節
             

             花水木の実が赤くなってきれいです。春には白やピンクの

             花、もう少し秋が深まると、真っ赤な紅葉と、一年中目を

             楽しませてくれる木です。家の近所の小さな図書館の駐車

             場に数本の花水木があります。その図書館へ小学校の読み

             聞かせで使う絵本を捜しに行きました。

             

ざぼんじいさんのかきのき (のびのび・えほん)
織茂 恭子
岩崎書店


             

おじいちゃんのふね
ひがし ちから
ブロンズ新社

            「ざぼんじいさんのかきのき」と「おじいちゃんのふね」を選びました。

            「ざぼんじいさんのかきのき」は柿の実を一人じめしていたおじいさん

            が、隣の家の賢いおばあさんの機転で、子どもたちとみんなで柿を分け

            合うというお話。日本の昔話では、舌切り雀のお話のように、何故か業

            突く張りはおばあさんで、心優しいのはおじいさんの場合が多いのです

            が、これは反対で、小気味いい。

            「おじいちゃんのふね」は台風で壊れたおじいちゃんの木の船を修理し

            てあげようと奮闘する男の子のお話。どちらもほっこりした絵と、のど

            かな語り口で、時間がゆったり流れているような気分になる絵本で、せ

            かせ、ぎすぎすした日常を忘れさせてくれます。ちょっと疲れた人にお

            すすめかな。

            

            コケモモの小さな鉢を買いました。クランベリーという名の方が

            通っているかも。もっと赤くなるようです。かわいい。

            

            

            

                

              朝の散歩でいろいろな花に出会います。少し涼しくなって、

              花々が生き生きしてきたような。

                
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秋の空気

2018-09-15 09:35:13 | 季節の花々
             

             暑い暑い夏も、ついに退散しようとしています。散歩に行っても、

             秋の気配がそこここに。なっちゃんとエノコログサ。

             

             なっちゃんと黄花コスモス。

             
  
             なっちゃんと大きな里芋の葉っぱ。

             

             

             

             

             まだまだ夏の花も咲いています。でも鶏頭も朝顔も百日草も秋の季

             語なんですね。旧暦と新暦じゃ一か月半ぐらいずれがありますから。

             

             お孫ちゃんの幼稚園のグランパ・グランマデーに行き、可愛い

             カードをもらいました。私ももう立派なおばあちゃん、人生の

             秋に差し掛かっています。
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奈良天川村-面白い秘境

2018-09-11 17:04:10 | 歴史
            

            市町村合併で少なくなったとはいえ、日本全国非常に数多くの村

            がありますが、その中でも天川村は、隣の日本一面積の広い十津

            川村ほどの大きさはありませんが、歴史的にも、地形的にも、と

            ても面白い村です。霊場大峰山への登山口で、良い温泉がある。

            すごい鍾乳洞がいくつもある。名水「ごろごろ水」が湧きだして

            いる。知る人ぞ知る漢方薬「陀羅尼助丸」の発祥の地だ。全国的

            に有名な芸能の神社「天河大弁天社」がある。南朝の宮跡がある。

            「みたらい渓谷」という絶景の渓谷がある。すばらしくきれいな

            天の川が流れているetc.

                

            

            この丸太の形の、ものすごくゆっくり動くモノレールで入り口ま

            で登ったところにある鍾乳洞がすばらしい!かなり高台にあり、

            景色が最高。中に入るとかなり広く、鍾乳石や石筍が見事です。

            苦労して整備された鍾乳洞だとか。青や赤や紫や照明の色にちょっ

            と凝りすぎている感はありますが、外は酷暑なのに、超涼しい!

            

            

            

            ここは天川村洞川という地域です。この龍泉寺は山号大峰山。修験者

            たちの清めの水の湧くありがたいお寺です。お寺の近くに「ごろごろ

            水」が汲める場所があります。日本の名水百選の一つ、超天然水だそ

            うで、遠くから汲みに来る人も大勢います。標高が高く、紅葉がもう

            少し色づき始めていました。

            

            温泉街の通りは、修験者や参詣者のための温泉地という側面もあるの

            で、俗っぽさが全くなく昔ながらの落ち着いた雰囲気が魅力的です。

            

            胃腸薬「陀羅尼助丸」のお店がたくさんあります。役行者が製法を
           
            教え伝えたという、これまたありがたい漢方薬です。

            

            洞川温泉から少し離れますが、同じ天川村に「天河大弁財天社」が

            あります。芸能の神様で、多くの芸能人が参拝に訪れるそうです。

            

            

            すばらしい能舞台があります。ここを舞台にした浅見光彦シリーズ

            の「天河伝説殺人事件」を読んだことがあります。能役者が殺され

            るというような話だったような。

                

            奥吉野のこの辺りは、古い歴史や伝説に事欠かない地域ですが、

            弁財天社の裏には、後醍醐天皇の皇子の後村上天皇が吉野から

            逃れてしばらくお住まいだったという仮宮黒木御所跡の碑がひっ

            そりと建てられていました。

            私の生まれた川上村とはほんの目と鼻の先なのに、こんなに文

            化的、歴史的に豊かな山里があったとは、今更ながら、うれし

            い発見でした。       
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大和葛城ノスタルジック街道

2018-09-08 14:37:25 | 歴史
             

             日本中あまたある道の中で、私がいま一番気に入っているのが、奈良

             県の御所市から五條市に至る、葛城山金剛山沿いの街道です。葛城古道

             と呼ばれる太古の道です。ノスタルジック街道なんて呼ばれてい

             ます。葛城山金剛山を片方に、もう一方に開けた田園地帯を望む

             ほんの数キロの道ですが、山が迫るでもなく遠くもなく、すっき

             りした道で、ちょっとイギリスの田舎を思わせます。たっぷりの

             試食で有名なおいしい豆腐屋さん、自家製ハム・ソーセージのお

             いしいレストラン、しゃれたパン屋さんなど、田舎にしては(失

             礼な言い方ですが)すてきな食に出会えます。

             

             けれどなんといっても見どころは、古い歴史の土地ならではの古さびた

             神社やお寺の数々です。これは高天彦神社。ここが天孫降臨神話で神々

             がいらっしゃたとされる高天原の地であったとの伝承がある古い古い神

             社です。小さな神社ですが、霊気が満ち満ちているような気がしました。

             

             

             その他、前に紹介した京都の上賀茂神社、下鴨神社の本宮、高鴨神社や
           
             鴨山口神社、そしてこの鴨都波神社など、この地の豪族であった鴨氏の

             氏神社が点在しています。いずれも歴史の香り豊かな荘厳な神社です。

                

             その一角に、これまたすてきなお寺があります。お寺に「すてき」

             なんていうのは不敬かもしれませんが。船宿寺です。ツツジの名所、

             花のお寺です。行基さまが創建したというから、これも古い!

             

             

             真夏ゆえ、ツツジは見られませんでしたが、白、赤のアオイが青空

             に映えてきれいでした。
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近江八幡

2018-09-07 17:00:35 | 旅行
               

               琵琶湖東岸の近江八幡市は魅力的な町です。近江商人発祥の地

               でもあり、今に続く大企業が多く生まれた土地です。その名の

               由来となった八幡神社。この境内や八幡堀沿いの街並みは、と

               ても良い雰囲気です。

               

               

               近江八幡へ来たら外せないのが水郷めぐり。琵琶湖の内湖、西の湖

               を船頭さんが手漕ぎの船で回ってくれます。葦の原の間をゆっくり
         
               行くと、カイツブリ、カルガモ、シラサギ、カメなどに出会えます。

               船頭さんの素朴な近江弁もいいんですよね。もうお年のようなのに

               汗をたらしで櫓を操っている姿に、ちょっと申し訳ないような気持

               ちにもなるのですが。

               


               八幡宮の境内に有名な「たねや」という和菓子屋さんがあります。

               暑い日だったので、ここでしばらくなっちゃんと涼ませてもらい

               ました。

               

               

               あまりに涼しくて気持ちいいので、小さなつぶらもち一個で、相当長

               い時間居座ってしまいました。冷たい小豆茶までふるまってくれます。
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近江の海

2018-09-07 16:22:20 | 歴史
              

                 近江の海夕波千鳥汝が泣けば心もしほに古思ほゆ  

                                 万葉集巻三-二六六

              柿本人麻呂が壬申の乱後、都が明日香に戻った後で荒廃した近江の都

              を訪れて詠んだ歌だそうです。 悲しみが切々と胸に迫ってくるような

              美しい歌です。天武側に滅ぼされた近江朝の大友皇子らへの鎮魂の歌

              なのだとか。

              

              

              近江は淡海、つまり淡水の琵琶湖のことですね。日本で一番

              大きな湖ですから、一見海のようです。八月の末のある日、

              堅田の湖のそばの宿で一泊しました。この堅田という地名も

              絵の好きな人、特に日本画が好きな人には馴染みだと思いま

              す。湖周辺の八大ビュースポットが近江八景と呼ばれ、その

              うちこの地は「堅田の落雁」として有名です。特に歌川広重

              の浮世絵は、どこかで目にしているでしょう。本当に美しい

              夕景でした。

              

              宿からすぐ湖に出られるので、朝まだ暑くならないうちに泳ぎ

              ました。海水のようにべとべとしないので、いい気持ちです。
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