キッチン・トランスレーターつれづれ日記

つれづれなるままに日々のよしなしごとを綴ります。本、風景や花や料理、愛犬の写真などをご紹介。

迷って来たまんまの犬

2014-10-29 16:45:37 | ペット
          

          「迷って来たまんまの犬で居る」自由律俳句の尾崎放哉にこんな句があります。

                                        
                  
              なっちゃんも5年ほど前に宇都宮の町中をウロウロしている迷い犬だった

              のをもらってきた犬です。

          

         捨てられたのか、自分で脱走して迷子になったのか、話さないのでわかりません。

                      

           あまりにもおとなしく臆病だし、甘えて寄ってきたりしない愛想のない犬

           なので、それこそ愛想を尽かされて放り出されたのかもしれません。

          

          それとも脱走して元の家へ帰る道がわからなくなったのかも知れません。

          うちに来てからも何度か、雷や花火の音に驚いて逃げ出し、さんざん探

          しまわって、暗い中でブルブル震えているのを見つけたことがあります。

          飼われていたとしても、しつけはされていません。お手ても、おすわりも

          待てもなんにもできません。

                     

              今日も運動会の合図の花火の音が怖くて、不安のあまり台所の隅っこ

              でうなだれています。せめて「こわいよう」と擦り寄ってでも来てくれれ

              ばいいのに。まさに「迷って来たまんまの犬」でいます。でもかわいい

           

          そんななっちゃん、シャンプーをしてもらって、首輪にハロウィン飾り

          まで着けてもらいましたよ

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

赤岩集落

2014-10-28 10:45:26 | 旅行
              

              近頃、町中で見る花はサルビアやパンジーや園芸種の洋花が

              多くなったような気がしますが、田舎に行くと秋は断然菊の花で

              す。群馬県吾妻郡中之条の赤岩集落にも、赤や黄色の菊の花

              が道端に咲き乱れていました。

              

              赤岩集落はかつて養蚕を営んでいた古い建物が多く残る集落です。

              

              どの家も、蚕を飼う2階がとても広く作られています。富岡製糸場と

              ともに絹産業遺産群となっています。昭和30年頃まで養蚕が非常

              に盛んだったけれど、今では蚕を飼っている家は1軒もないようです。

              

              中でも異彩を放っているのが「湯本家」の大邸宅です。

              

              土壁がむき出しで、一見廃屋っぽくも見えるのですが、これは

              火事に強いようにと、わざとこうしているそうです。

              

              湯本家は木曽義仲に仕え、草津温泉を開いたと言われるとて

              も古い名家で、幕末の偉人高野長英が牢を破り逃げまわって

              いた間の一時期、彼をかくまっていたとも言われています。歴

              史の深さを感じる山里の村でもあります。

              

            湯本家の生け垣の側に咲いていた一輪のバラの花の色があまりの

            艶やかさに、なぜかこの世の移り変わりの儚さを感じたひとときでした。                    
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

岩櫃城跡

2014-10-26 10:16:27 | 旅行
               

               秋の野辺に一輪咲くアザミってどこか寂しい風情ですが、昔は堅固な山

               城だったのに、今は影さえ残らず、人家もなく、人っ子一人いない城跡

               に咲くアザミには一層の寂しさを感じました。

               

               

               ここは群馬県吾妻郡にある岩櫃城跡です。15世紀初めに築城された古い

               お城ですが、戦国時代に信州上田の真田氏が武田氏の家臣となり、この

               城を任された時代がありました。落ち目の武田勝頼に岩櫃城にのがれる

               よう真田氏が進言したのに叶わず、勝頼は討ち死にしてしまいました。

               2016年のNHK大河ドラマが真田幸村に決まったので、この岩櫃城も登場

               することになり、この幟が立っているというわけです。                 
           
               

               今では紫苑の花が咲くばかりですが、昔は真田十勇士もこの辺りを闊歩

               していたのかもしれません。

               

               

               

               近くの小さな岩櫃神社の周りにはコスモスが乱れ咲き、ふと見上げると

               十月桜が咲いていました。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

チャツボミゴケ

2014-10-23 14:46:29 | 旅行
              


            群馬県吾妻郡中之条町の六合(クニと読むそうです)地区の奥、分かり易く言

            えば草津温泉のすぐ北の山の中に「チャツボミゴケ公園」という所があります。

            「面白いところだから行ってみなさい」と道の駅のアイス屋さんのおじさんに

            勧められて行きました。すると、まだもう一息の色づきだけれど、きれいな紅

            葉の向こうに、とても変わった風景の場所がありました。

              

              

           勢い良く流れるきれいな川の中の石が、濃い緑のつややかな苔に覆われています。

              

              

             行き止まりまで行くと、そこは一面緑の苔、苔、苔。穴地獄という名の不思議な

             場所でした。湧き出る強酸性の鉱泉を好んで生える「チャツボミゴケ」という苔

             の群生地だそうです。たまにいますよね、他の生物ならひとたまりもない強酸

             性やアルカリ性の所でも平気で、というか好んでに暮らしている動植物が。この

             チャツボミゴケもそんな変わり者の仲間のよう。なかなか神秘的な光景でした。

              
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

吾妻渓谷-八ッ場ダム-川原湯温泉

2014-10-22 16:04:04 | 旅行
              

            関越自動車道の渋川伊香保インターで降りて草津温泉や、四万温泉の方へ

            向かうと吾妻渓谷という素晴らしく風光明媚な渓谷があります。殊に紅葉の

            季節は言葉を失うほどの美しさです。

              

              数年前に行って、あまりに美しかったので、再度訪れたのですが、

              ちょっと早すぎたようです。それでもきれいでしたが。

              

            吾妻川のこの少し上流は、民主党政権時代の仕分けでも有名になった「八ッ場

            ダム」の建設予定地です。下の2つが元々かかっていた橋、上の橋がダムのた

            めに新しくできた橋です。

              

            渓谷のすぐ横の川原湯温泉はダムができれば完全に水没します。渓谷自体

            も部分的に水没するようです。1952年着工で、なんともう60年経っています。

            その間猛烈な反対運動があったり、中止になりかけたり、でも結局川原湯

            温泉の人たちは補償金をもらって移転して、今ではこのゲートのこちら側で

            営業している温泉宿はなく、ゴーストタウン化しています。

              

              新しく高台に共同浴場ができていますが。その時々の政治や人々

              の思惑に翻弄されて半世紀。古い名湯の地は消えてしまいました。

              

            この橋の橋脚のかなり上まで水が貯まるそうです。私のふるさと奈良吉野

            の大滝ダムは、「西の大滝、東の八ッ場」と称されて、これまた膨大な費用

            と年月をかけて作られたあげくに、周辺に地滑りが起こり、ダムなのに水

            溜められないという情けない事態になって、巨額を投じたムダなダムなん

            て笑われていましたが、今やっと水が溜まってきました。こちらはそんな

            ことにならないとは思いますが。未だ完成まで5、6年かかるようです。

            
                 

              この美しい渓谷がなるべく元のままの形で残り、川原湯温泉も

              新しい形でよみがえることを願うしかありませんね。                
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

山のあなた

2014-10-16 21:32:51 | 地球
             

             芒の穂揺れて夕光零しけり   岡本紗矢句集「向日葵の午後」より

            「枯れすすきの穂が夕日をこぼす」秋の山野の夕景をうまく表現した

             きれいな句です。すすきは薄よりこの芒のほうが趣がありますね。

             「こぼす」って「零」という漢字なんですね。零してしまえばなくなる

             からでしょうか。

             「山は暮れて野は黄昏の芒かな」なんていう与謝蕪村の句もありま

             す。芒は夕暮れが似合います。

             

             今、コーラスで「山のあなた」という歌を練習しています。カール・

             ブッセの詩を上田敏が訳したあの詩に曲をつけたものです。

             遠い山と空の景色を見ると心が広がります。あの山の向こうにはきっ

             と何か素晴らしい物があるに違いないと、あこがれが湧いてきます。

               山のあなたの空遠く

               「幸」住むと人の言ふ

               ああ、われひひとと尋めゆきて

               涙さしぐみか帰へりきぬ

               山のあなたのなほ遠く

               「幸」住むと人の言ふ 

                          カール・ブッセ 上田敏訳詩集「海潮音」より

              落語のネタにされたこともあり、この詩を知らない人はいないでしょう。

              「幸Glueck」を擬人化しているところが巧みです。「ああ、われひとと

              尋めゆきて」のところ、ぼおーと読んでいて一人で「幸」を探しに行った

              んだと思い込んでいたのですが、違うんですね、おおぜい(Schwarme)

              で探しに行ったんです。だれだって幸せになりたいですからね。でも、

              見つからなくて、涙ぐんで帰ってくるんです。そりゃあそうでしょう。

              人生、そううまくは行きません。ブッセ自身の生涯はどうだったので

              しょう?詩人もこの詩もドイツではあまり有名じゃないようですが、

              日本人の心の琴線には触れるロマンチックな詩です。        
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

様々な秋

2014-10-13 09:54:56 | 季節
             

              どことなく鹿に似る犬秋うらら      岡本紗矢句集「向日葵の午後」より

             散歩には一番いい季節です。なっちゃんも、夏とは違いいそいそ出かけます。

             道の真中に座り込み、「私帰りたくありません」モードに入っています。

             

             あちこちに、色々な秋が見つかります。わずかなすきから秋の風を感じる

             「小さい秋」、しみじみ静かな「里の秋」、「読書の秋」、「スポーツの秋」、

             「芸術の秋」、清少納言なら断然「秋は夜」。

             

             「物思う秋」でもありますね。一人静かに池の面など眺めていたいような。

             

             でもなんといっても「食欲の秋」。秋刀魚、おいしいですね。

             

             

             夕食は、それにワカメのサラダと、揚げ出し豆腐。いただいた香りの良い

             スダチをたくさん添えました。      
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

深き日の匂ひ

2014-10-11 10:40:08 | 季節
               

               仕事にかまけてブログをお休みしていたら、もう10月、

               金木犀が匂ってきて、はっと気づいた今年の秋です。

               

               周囲を見渡せば、紫式部の実の紫の鮮やかなこと、

               

               鶏頭の花の赤いこと、

               

               秋明菊の白く凛々しいこと、

               

               七変化という和名のランタナに小鳥の好きな黒い実がつき、

               

               大きな葉っぱの下に里芋がゴロゴロと実る季節です。

                 踏みゆけば落ち葉に深き日の匂ひ  岡本紗矢句集「向日葵の午後」より           
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする