弘法大師空海が開いた高野山金剛峯寺は、言わずと知れた真言密教の
大本山です。明治の初めまで女人禁制でしたが、今は誰でも入れます。
山全体が広大な境内ですが、車で行くとまず、高野山一山の総門である
巨大な赤い大門に到着します。そこから檀上伽藍・金剛峯寺の区域、奥
の院・弘法大師の御廟と長く奥深い一体を総称した呼び名が高野山です。
壇上伽藍エリアには根本大堂などたくさんの建物があります。
国宝の不動堂が美しい。
金剛峯寺は元々は清巌寺ともう一つのお寺を合体して成り立った
お寺だそうで、ちょっとお城を思わせる作りで、一瞬真言密教の
霊域にいるのを忘れそうになります。襖絵なども見ごたえがあり
ます。廊下も鴬張りで、キュッキュッと鳴ります、豊臣秀吉の命
で切腹させられた秀次の自刃の間などというのもあります。
ところが、そこからさらに奥の院の方へ進んでいくと、静寂荘厳
な世界です。行きつくところが弘法大師の御廟ですが、そこに至
る杉の巨木が林立する鬱蒼とした参道に多くの戦国武将や有名人
の御墓があります。法然上人や織田信長も仇の明智光秀も、千姫
に、信玄、謙信、三成、敵味方にかかわりなく。弘法さまの懐の
深さですね。
傍らに咲く秋海棠の淡い紅色がなぜか胸にしみました。