大和葛城にある
當麻寺は、聖徳太子の弟麻呂古王が創建したとさ
れる静かなたたずまいのお寺です。この地豪族葛城氏の一族
当麻氏の氏寺だったようです。
悲劇の皇子、大津皇子の眠る二上山の麓にあり、山号を二上山
禅林寺と言います。門のすぐ近くに敬愛する犬養孝先生の筆に
なる皇子の有名な歌の碑がありました。「あしひきの山のしづ
くに妹まつとわが立ち濡れし山のしづくに」
東塔と西塔、どちらも国宝です。創建時代からそろって残って
いるのは珍しいとのこと。きりっとした美しさ。
白壁に濃い茶色の柱、窓が美しい金堂。
奥の院の浄土庭園は、数多くの巨大な石による石庭です。九州
の由布院から運ばれたものだとか。見ごたえがあります。この
お寺は牡丹でも有名で、牡丹の咲く季節には、武骨な石の庭が
一変、華やぐようです。
ですが當麻寺は何といっても、中将姫の伝説で知られています。
姫が蓮の糸で、一夜にして織ったという当麻曼陀羅は非公開で
すが、写しは見ることができます。ツムラという薬品会社の婦
人薬に「
中将湯」というのがあります。これは継母に迫害され
て身を隠した家が津村家で、姫が薬草の知識を伝えたことに由
来するそうです。
境内では中将姫のように慎ましやかな美しい薄紅の梅が満開でした。
どうゆう由来か、かわいい傘の形のおみくじがありました。