日本最古の仮名物語「竹取物語」の発祥の地と言われる場所は各地にあり
ます。静岡県富士市や、岡山、広島、さらにては鹿児島まで。そのうちでも
ここ奈良県広陵町は、当時の藤原京に近いという地理的な位置などから有
力な候補地で一つです。一帯は整備されてとてもモダンな
竹取公園になっ
ています。
竪穴式、高床式住居も復元されています。付近には竹林も多くあり、史実は
どうであれ、ここにかぐや姫のような麗しい女人がいたかもしれないと想像す
ると、夢が広がります。
竹取公園から車で斑鳩の方へ行きました。斑鳩には法隆寺、中宮寺など超有
名なお寺がたくさんありますが、今回はちょっと気になていた
法輪寺というお寺
に行ってみました。聖徳太子の皇子山背大兄王が建立したのではないかと言わ
れている由緒あるお寺です。ちょうど秘仏の妙見菩薩像がご開帳されていました。
妙見さんを祀るお寺はあちこちにありますが、北極星を神格化した仏さまで、星
を、つまり人々の運命をつかさどっていらっしゃるそうです。知らなかった!
美しい三重塔があります。これは1944年に落雷で焼失して再建されたものです
が法隆寺の五重塔、法起寺の三重塔と並んで斑鳩三塔と呼ばれているそうです。
斑鳩や良夜の塔のまぎれなし 角川春樹
本堂の前の美しい八重桜が満開でした。その下で、多分もう八十を過ぎてい
らっしゃるようにお見受けする尼僧さまと檀家らしい女性が、ゆったりした大
和言葉で話しているのが漏れ聞こえてきました。この桜ともう二本の桜を、同
じ法輪寺という名前の京都のお寺から贈られたそうなのですが、一本は枯れ
てしまったことなど、、、。
法輪寺の後、ちょっと北にある
松尾寺へ行きました。ほんとにこの辺りは、
不敬な言い方ながら、石を投げれば古代の大和なら文化の史跡に当たる
ような土地柄です。この松尾寺も、718年舎人親王創建という、古く由緒ある
お寺です。舎人親王って?そうそう、日本書紀を編纂したお方です。しかも
天武天皇の皇子というサラブレッド。
日本最古の厄除け霊場であるとか。なにやら霊験あらたかな雰囲気の古刹です。
大和平野を見晴らす山中にあるこのお寺の静寂の中で、
舎人親王は「日本書紀」
の編纂に勤しんだのでしょうね。